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 型破り、というか、正直ちょっと変…35期連続増収増益という圧倒的成長力を誇る総合ディスカウント店「ドン・キホーテ(ドンキ)」。流通・小売業を代表する一大カンパニーへと飛躍した原動力は、「顧客最優先主義」と「権限委譲」という独特の企業風土にあった――。本稿では『ドンキはみんなが好き勝手に働いたら2兆円企業になりました』(吉田直樹、森谷健史、宮永充晃著/日経BP)から内容の一部を抜粋・再編集。ドンキやパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)のキーパーソンの話を通じ、ユニークで大胆な経営やマーケティングの手法の本質に迫る。

 顧客の心を揺さぶるパッケージの秘密とは? 大人気のプライベートブランド(PB)商品のリニューアルの舞台裏を明かす。

パッケージの命運を握る「商品ニュース会議」

 パッケージの文言を決めるために、宮永さんと始めたのが「商品ニュース会議」です。ドンキには商品の仕様や数量を決める「商品起案会議」がありますが、これとは完全に別です。

 商品ニュース会議では、パッケージに書かれている長過ぎる「ニュース」文言だけしか議論しません。情熱価格のリニューアル当初は1~2週間に1回程度開いていましたが、今は商品起案会議の前後に開いています。

 まずは商品ニュース会議用のフォーマットを宮永さんと一緒につくりました。そこには「この商品の何が、どのお客さまの気持ちを動かすのか?」を起点に、読みたくなる情報を書かなくてはいけないというルールにしました。

 そのためには、お客さまのニーズを発掘しなければなりません。開発者は、自分の直感に加えて、SNSに転がっているユーザーの感想や実際に人気の商品群などから、ニーズの仮説を立てます。

 例えば「20代のキャンプ好き」といったターゲットを設定したとします。それに対して、今、開発中の商品のどこをニュースとして押し出すのか。ターゲットニーズを満たす商品特徴を、生産委託先の工場と相談した上でフォーマットに記入し、商品ニュース会議に臨みます。