
型破り、というか、正直ちょっと変…35期連続増収増益という圧倒的成長力を誇る総合ディスカウント店「ドン・キホーテ(ドンキ)」。流通・小売業を代表する一大カンパニーへと飛躍した原動力は、「顧客最優先主義」と「権限委譲」という独特の企業風土にあった――。本稿では『ドンキはみんなが好き勝手に働いたら2兆円企業になりました』(吉田直樹、森谷健史、宮永充晃著/日経BP)から内容の一部を抜粋・再編集。ドンキやパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)のキーパーソンの話を通じ、ユニークで大胆な経営やマーケティングの手法の本質に迫る。
「〇〇といえばドンキ」とお客に思ってもらえる商品を作り出すための戦略とは?「顧客親和性」をキーワードに、同社のマーケットインの神髄に迫る。
ドンキに最大公約数的な発想はない

この健康志向がメインストリームの時代、カロリーの塊のような食品が売れるの?
偏愛めしに対して、そんな疑問を抱かれた方もいるかもしれませんが、ここまで本書を読んでいただいたみなさんなら、「ドンキならやりかねない!」と思っていただいたのではないでしょうか?(笑)
そうなんです。僕たちの感覚では、健康志向ももちろん大切なんだけど、それだけじゃないよね、というのが本音です。
健康志向の時代 …っていうのは、最大公約数の考えです。一方で、「そうでもないよね」といった感覚も、世の中にはいっぱいあります。
例えば、近くに「二郎系」ラーメン店があれば、きっと行列ができているはずです。二郎系ラーメン店は、麺の量が通常のラーメンの2倍くらいあり、糖質たっぷり。チャーシューは巨大、背脂もどっさりのっています。それでも多くの二郎系ラーメン店では、大行列ができています(僕は行ったことないんですが・笑)。
飲食店は王道系のお店がある一方で、ニッチなニーズに応えている面白いお店も数多くあります。健康志向が高まっているとはいっても、そうでない飲食店は山のようにありますよね。