西の丸大手門にあたる皇居正門 写真/w.mart1964/イメージマート

(鷹橋忍:ライター)

大河ドラマ『べらぼう』第15回「死を呼ぶ手袋」では、石坂浩二が演じる松平武元(たけちか)が、奥智哉が演じる徳川家基の急死を巡り、忌み嫌っていた渡辺謙が演じる田沼意次と力を合わせた。今回は、この松平武元を取り上げたい。

16歳で三代藩主に

 江戸幕府が編修した武家系図集『寛政重修諸家譜』によれば、松平武元は、正徳3年(1713)に生まれた(諸説あり)。

 享保4年(1719)生まれの田沼意次より、6歳年上となる。

 父は、水戸徳川家の分家である常陸国府中藩の三代藩主・松平頼明(よりあき)、母は九野氏、武元は二男(諸説あり)と、『寛政重修諸家譜』には記されている。

 武元は享保13年(1728)、数えで16歳の時、上野国館林藩の二代藩主・松平(越智)武雅の臨終に際して(同年7月28日に死去)養子入りし、三代藩主となっている。

 松平(越智)家は、六代将軍・徳川家宣の実弟・松平(越智)清武にはじまる家門大名で、武雅は、清武が美濃高須藩から迎えた養子である。

 武元は同年9月22日、亡養父・武雅の遺領を引き継ぐも、同日、陸奥国棚倉に転封となった。