日本では2025年から国際的なスポーツ大会が続く。東京では9月に世界陸上が、11月に聴覚障害者による国際総合スポーツ競技大会のデフリンピックが開催される。2026年9月から10月にかけては愛知・名古屋アジア競技大会とアジアパラ競技大会が開かれるほか、海外では2026年2月にミラノ・コルティナ冬季オリンピック、3月にパラリンピックが予定されている。

 アスリートや関係者以外で大会に関わる方法の一つが、ボランティアでの参加だ。特に国際的なパラスポーツ大会では、圧倒的な多様性を感じることができる。自らの可能性に挑戦する選手たちに共感し、大会を支えていくことにやりがいを感じるボランティアは多い。

 ただ、愛知・名古屋アジア競技大会とアジアパラ競技大会で名古屋市は1万人を目標にボランティアを募集しているものの応募が集まらず、締切を1月末から4月末に延長したが、現時点で応募者数は目標に届いていない。まだまだ日本では経験した人が少ないのも事実だ。

 2021年の東京オリンピックとパラリンピックで初めてボランティアを経験したことをきっかけに、2024年のパリパラリンピックにも参加した日本人ボランティア4人に、パラスポーツのボランティアに携わる魅力について聞いた。

(田中 圭太郎:ジャーナリスト)

パリパラリンピックのボランティア、100人以上の日本人が参加

 2024年のパリパラリンピックは、オリンピックが閉幕した17日後の8月28日から9月8日までの日程で開催された。販売されたチケットは250万枚を超え、2012年のロンドン大会に次ぎ、史上2番目に多い観客動員数を記録した。

陸上競技と閉会式が行われたStade de France

 パリパラリンピックを取材した筆者にとって印象的だったのは、選手たちのパフォーマンスはもちろん、ボランティアの姿だった。

 ボランティアはそれぞれの持ち場で仕事をしながら、その会場での試合が全て終わると、観客を賑やかに見送る。観客とハイタッチをする人、手でアーチを作る人など、笑顔で観客とコミュニケーションをとっていた。あいにくと雨となった閉会式でも、会場の中を縦横無尽に駆け巡るなど、最後まで大会を盛り上げていたのがボランティアだった。

水泳の会場で観客を見送るボランティアたち

 パリ大会では、オリンピックに約3万人、パラリンピックに約1万5000人のボランティアが世界中から参加した。日本からは、東京2020大会でボランティアをした人のうち、少なくとも約150人がオリンピックのボランティアに参加して、さらにそのうちの60人近くの人がパラリンピックにも参加した。現地に住んでいる人などを合わせると、パラリンピックには100人を超える人がボランティアとして活動したとみられている。