東京大会でボランティアを経験して、パリ大会にも参加

 最初に話を聞いたのは、辰巳美鶴さんと奥居民生さん。2人とも東京2020大会ではオリンピックとパラリンピック両方でボランティアを経験し、パリ大会にも参加した。

 辰巳さんはフランス語を話せることもあって、オリンピックでは観客の誘導を、パラリンピックでは大会関係者のIDカードを発行する部門にいた。ボランティアに参加した理由を次のように話した。

辰巳美鶴さん(写真右)

「長く勉強してきたフランス語を使う絶好の機会だったことと、ずっと専業主婦だったので、世界とつながりたい、社会に貢献したいと思って来ました。ボランティアには車いすユーザーもいて、一緒に仕事をしています。その人に合った役割があるので、障害のあるなしは関係ないですね」

 奥居さんは、宇宙関係の技術者ということもあり、パリ大会では報道関係の技術業務を担当したほか、観客業務を手伝うこともあった。東京大会でパラリンピックのボランティアを経験したことが、パリ大会への参加につながった。

奥居民生さん

「東京大会でパラリンピックのボランティアをした際に、競技を見て感動しました。事前に研修などを受けてわかっていたつもりでも、見る前はそれほどとは思っていませんでした。今回パラアーチェリーを担当しましたが、両腕がない選手が足で弓を引いて金メダルを獲得する姿を見て驚きました」

 東京大会は無観客だったため、選手は静かな会場で粛々と競技をするだけだった。パリ大会で初めて観客が入ったパラリンピックを見た印象を、奥居さんは次のように表現した。

「観客がいるのといないのでは、大きな違いですよね。パラリンピックでも、予選のときからお客さんが非常に盛り上がっていました。大きな声で応援する人、国旗を掲げる人など、盛り上がり方がオリンピックとパラリンピックと一緒なのがいいですね。パラアーチェリーでも、的の距離は健常者の場合と同じで成功率も変わらないので、健常者と互角に競技ができる姿も見てみたいと思いました」