Jリーグ初の車椅子でのピッチ入場を実施した東京ヴェルディは、障害がある人のスポーツ普及に取り組んでいる(©TOKYO VERDY)

障害がある人みんなが気軽にスポーツを楽しみ、観戦できる環境を作る——。そんな場を提供しているサッカーJリーグのクラブがある。J2の東京ヴェルディだ。パラスポーツ体験教室などを都内7つの自治体や特別支援学校、小学校で実施している。Jリーグのクラブが障害のある人のスポーツ普及に取り組む理由を取材した。

(田中 圭太郎:ジャーナリスト)

クラブのチアダンスチームが指導

 東京都渋谷区のひがし健康プラザで開催されている「パラスポーツ体験教室」。開催時間になると、事業所で働く障害のある人や、地域の人が集まってくる。事前の申込みなどは不要で、渋谷区に住む人でもなくても参加できる。入退場も自由。筆者が取材で訪れた日は見学だけの人もあわせて約50人が参加した。

渋谷区ひがし健康プラザで開催されたパラスポーツ体験教室。東京ヴェルディのチアダンスチーム「VERDY VENUS」がダンスを指導する(2023年6月)

 この日のメニューは、まずダンスだ。教えるのは、Jリーグ東京ヴェルディのチアダンスチーム「VERDY VENUS」のメンバー。参加者全員で一緒にダンスを楽しむほか、指導している映像を、渋谷区内の障害のある人が働く事業所にもインターネットで同時配信した。

 ダンスの後は気軽に楽しめるスポーツで体を動かす。この日はウレタンとナイロン素材の円盤を投げるフライングディスクだった。投げる距離を徐々に伸ばしていき、慣れたところでチームに分かれて競技をする。

 開催時間はダンスとフライングディスクを合わせて1時間ほど。教室はひがし健康プラザで月1回、渋谷区スポーツセンターで月2回と定期的に開催されていて、繰り返し通っている人も多いという。