(ライター、構成作家:川岸 徹)
2007年に始まった「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI(略称AATM)」。今年のグランプリ受賞者・高田マルをはじめ、これまでの受賞者5名のアーティストを紹介する展覧会「Window Gallery in Marunouchi―from AATM vol.2」が開幕した。
アートアワードの現状は
アーティストの登竜門、アートアワード。海外はもちろん、日本にも数多くのアートアワードがあり、賞金や展覧会開催の機会を提供するなど、アーティストが世に羽ばたくための支援を行っている。
イギリスのターナー賞、フランスのマルセル・デュシャン賞。日本では1956年にシェル美術賞として創設され2024年で53回目を迎えた「Idemitsu Art Award」や、平面美術の領域に絞った「VOCA展」、海外での個展の権利が与えられる「Asian Art Award supported by Warehouse TERRADA」、実業家の前澤友作氏が立ち上げた現代芸術振興財団による「CAF賞」などが知られている。
ほかにも、国内アートアワードは枚挙にいとまがない。毎年、何かしらのアワードが新設されているが、なかには「これで本当に未来のアーティストを発掘できるのか」と疑問に感じるものも少なくない。最近は作品の応募ではなく、作品の構想を募集するアワードや、写真のみで審査が進むアワードも増えている。プレゼン上手、アピール上手の人にとっては好都合かもしれないが、はたしてアーティストの真の力量を見極めることができるのだろうか。
AATMは審査方法がユニーク
記者がおもしろいと感じ、応援しているアワードが2007年にスタートした「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI」(以下、AATM)。若手アーティストの発掘・育成を目的に掲げ、今年4月に18回目のアワードが開催された。主催はアートアワードトーキョー丸の内実行委員会。三菱地所株式会社が特別協賛している。
まず、AATMはノミネート作品の集め方がおもしろい。アワードのほとんどは、自薦・他薦による公募形式であるが、AATMは審査員が全国の主要な美術大学、芸術大学、大学院18校の卒業修了制作展を訪問。審査員が作品の「力」を直に感じ取り、ノミネート作品を選ぶというスタイルだ。
このユニークなスタイルにより、アーティスト自身も気づいていない、秘められた才能や魅力を見出すことが可能。ちなみに、今年行われた第18回AATMでは、今村有策(東京藝術大学大学院美術研究科教授)、木村絵理子(弘前れんが倉庫美術館館長)、後藤繁雄(編集者、クリエイティブディレクター、京都芸術大学教授)、小山登美夫(小山登美夫ギャラリー代表、日本現代美術商協会副代表理事)、建畠晢(埼玉県立近代美術館館長)、藪前知子(東京都現代美術館学芸員)、野口玲一(三菱一号館美術館学芸員)の7名が審査員を務めた。
2024年4月25日、18回目となったAATMの授賞式が行われ、各賞が発表された。AATM2024グランプリは高田マル、AATM2024三菱地所賞は朝井彩華。2人の受賞作をはじめ、最終審査まで残った20作品は、授賞式から18日間にわたって東京・丸の内「行幸地下ギャラリー」に展示された。