クロード・モネ《睡蓮》1916-1919年頃 油彩/カンヴァス マルモッタン・モネ美術館、パリ © musée Marmottan Monet

(ライター、構成作家:川岸 徹)

1874年にパリで開かれた「第1回印象派展」から今年で150年。マルモッタン・モネ美術館のコレクションを中心に、フランスの印象派を代表する画家クロード・モネの作品を紹介する展覧会「モネ 睡蓮のとき」が国立西洋美術館にて開幕した。

50歳、ジヴェルニーに移住

 母国フランスはもちろん、日本でも極めて高い人気を誇る画家クロード・モネ(1840-1926)。1874年、モネは伝統を重視し新しい芸術のあり方を認めないサロンに反旗を翻し、仲間の画家たちとともに自らの手で展覧会を開催する。モネが出品した《印象、日の出》により彼らは「印象派」と名付けられ、この展覧会は後に「印象派展」と呼ばれるようになった。印象派展は合計7回開催され、モネはそのうち5回に参加。アメリカで開催された印象派の展覧会でも高い評価を受け、モネは名声とともに財力も手に入れている。

 その財力をもとに、1890年、50歳になったモネはフランス・ノルマンディーの小村ジヴェルニーに土地と家を購入。この地を終の棲家と決め、1893年には隣接する土地も購入し、睡蓮の池がある「水の庭」を造成した。この睡蓮の池こそ、モネ最大の創造の源。この池を舞台に「睡蓮」の連作に取り組み、生涯に描いた「睡蓮」は200点以上に及ぶという。これが、モネが“睡蓮の画家”と呼ばれる理由だ。

クロード・モネ《ジヴェルニー近くのセーヌ河支流、日の出》1897年 油彩/カンヴァス マルモッタン・モネ美術館、パリ(エフリュシ・ド・ロチルド邸、サン=ジャン=キャップ=フェラより寄託) © musée Marmottan Monet / Studio Christian Baraja SLB

 国立西洋美術館にて開幕した展覧会「モネ 睡蓮のとき」。モネの展覧会はたびたび開催されているが、今回は“50歳からのモネ”を中心に、睡蓮をテーマに晩年の表現の変化を探求していく。世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館より、日本初公開作品を含む約50点が来日。さらに日本国内の所蔵品も加え、計64点で展示が構成されている。