画家人生を全う

クロード・モネ《日本の橋》1918-1924年頃 油彩/カンヴァス マルモッタン・モネ美術館、パリ © musée Marmottan Monet

 モネはその後も精力的に制作に励んだ。ただし、白内障を患った目の調子は芳しくない。実際の色がわからず、絵具チューブに記された色の表示を頼りに描いたこともあったという。「日本の橋」の連作は1918年から1924年にかけて制作されたもの。睡蓮の池に架けた日本風の太鼓橋を主題にしたもので、全24点から成る。全体として穏やかな睡蓮のシリーズと比べて、色彩が強く、どこか騒がしい。筆致も定まらず、アクションペインティングのような雰囲気さえある。

クロード・モネ《枝垂れ柳と睡蓮の池》1916-1919年頃 油彩/カンヴァス マルモッタン・モネ美術館、パリ © musée Marmottan Monet

 展覧会のエピローグには、枝垂れ柳を入れた睡蓮の池の風景画2点が展示されている。どちらも第一次世界大戦の戦中に描かれたものだ。モネは柳の木の涙を流すかのような姿によって、戦争で奪われる命への悲しみや服喪を表したという。「大勢の人々が苦しみ、命を落としているなかで、形や色の些細なことを考えるのは恥ずべきかもしれない。しかし、私にとってそうすることがこの悲しみから逃れる唯一の方法なのだ」。

 1926年、画家として一途に生きたモネは86歳で人生の幕を閉じた。

 

「モネ 睡蓮のとき」
会期:開催中~2025年2月11日(火・祝)
会場:国立西洋美術館
開館時間:9:30~17:30(金、土は〜21:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、11月5日(火)、 12月28日(土)-2025年1月1日(水・祝)、1月14日(火)(ただし、11月4日(月・休)、2025年1月13日(月・祝)、 2月10日(月)、2月11日(火・祝)は開館)
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

https://www.ntv.co.jp/monet2024/