結婚、出産、離婚、子どもの受験、親の介護…。人生100年時代に直面する様々なライフイベントを乗り越えていくために必要なのが「お金」です。ただ、日々の生活に追われていると、いざという時のための「マネープラン」を考えていないケースがほとんどではないでしょうか。
Money&You取締役でファイナンシャルプランナーの高山一恵氏のもとに寄せられた相談事例を通じてマネープランを考えていく連載「人生100年のマネー相談」。
今回ご相談にやってきたのは、40代の会社員Hさん夫婦。ご家族は中学1年生の息子さんと小学6年生の息子さんとの4人暮らし。
昨年、長男が中学受験をした際に、当初想定していた以上の出費があったとのこと。次男も中学受験を控えており、長男のときのような事態が起きても慌てないように、家計の見直しやマネープランを再考すべく相談にいらっしゃいました。
受験シーズン真っ盛りの今、Hさん一家の中学受験ではまった「受験料・入学金地獄」を教訓に、中学受験の落とし穴を回避する方法についてお話します。
(高山 一恵:Money&You取締役、ファイナンシャルプランナー)
(注:相談者のプライバシーに配慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください)
受験料・延納金・入学金…課金ゲームもラストスパート
年々、首都圏を中心に過熱している中学受験は「親子の受験」とも言われ、親が前のめりになるケースも少なくありません。そのため、つい、お金をかけがちになってしまいがちです。中学受験をする場合、どれくらいの費用がかかるかは、以前の執筆記事を参考にしてください。
【関連記事】
◎中学受験「課金ゲーム」で年収1000万円でも破綻寸前、成績優秀でも実家頼み
上記の記事を見ていただくとわかるように、中学受験をする場合、小学3年生から塾に通い始めた場合、塾代だけでも総額200万円以上かかります。塾や通うコースによっては300万円を軽く上回るケースも。そして、最後にさらに追い討ちをかけてくる費用があります。それが、「受験料」「延納金」「入学金」です。
国立中学の受験料は約5000円、公立(中高一貫校)の受験料は約2000円ですが、私立中学の場合、学校によって異なるものの一般的に約2万〜3万円程度となっています。
令和7年度都内私立中学校の学費の状況(東京都)によると、平均出願校数は4.89校となっており、私立中学を受験する場合には、受験料だけで10万〜15万円程度かかることになります。
さらに、出願した学校に合格するのはとても喜ばしいことですが、合格直後に親の脳裏によぎるのは入学金を支払うことになるかどうかです。合格した学校が本命校ではなく、滑り止め校などの場合には、正式な入学を待ってもらう必要があります。入学金を全額支払うと負担が大きいですが、多くの私立中学校は延納金を支払うことで、一定期間までなら入学金の支払いを猶予してもらえます。
本命校の合格まで入学金を待ってくれる学校も一部にはありますが、数は少ないです。延納金の金額は、入学金の一部(5万円程度)や半額程度(10万〜20万円)など、学校により異なります。
さらに、受験する学校によっては、延納金ではなく、全額入学金を支払うケースもあります。今回のHさんご一家のケースは、入学金を全額支払う必要があるケースでした。