(写真:アフロ)

 結婚、出産、離婚、子どもの受験、親の介護…。人生100年時代に直面する様々なライフイベントを乗り越えていくために必要なのが「お金」です。ただ、日々の生活に追われていると、いざという時のための「マネープラン」を考えていないケースがほとんどではないでしょうか。

 Money&You取締役でファイナンシャルプランナーの高山一恵氏のもとに寄せられた相談事例を通じてマネープランを考えていく連載「人生100年のマネー相談」。今回は、首都圏を中心に過熱している中学受験で年収1000万円世帯にもかかわらず教育費貧乏に陥ってしまった家庭の事例を紹介します。(JBpress)

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 今回、相談にやってきたのは、大手企業に勤務するDさん(40代)。パート勤務の奥様と小学6年生の娘さん、小学1年生の息子さんの4人暮らしです。小学6年生の娘さんは、私立の中学を受験する予定で、小学3年生から塾通いを始めています。Dさん一家のお悩みは、長女の中学受験の塾代や家庭教師代などがかさみ、貯蓄ができない状況になったこと。長男の受験も考えると、先行きのマネープランへの不安が募り相談にやってきました。

(高山 一恵:Money&You取締役、ファイナンシャルプランナー)

(注:相談者のプライバシーに配慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください)

大手進学塾の塾代は4年間で200万円超

 Dさんご一家は、東京23区内でも教育水準の高い地域に暮らしており、中学受験は当たり前という環境。娘さんの通っている小学校ではクラスの80%が受験するそうです。

 Dさん自身は、地方の公立中学、公立高校、国立大学のご出身なので、お子さんの中学受験については関心がなかったそうです。でも、奥様が非常に教育熱心で、お子さんが小さい時から中学受験を視野に、様々なお稽古事をさせていたそうです。Dさんは、仕事が忙しいこともあり、奥様の教育方針に従うことにしたそうです。

 娘さんは小学3年生から中学受験向けの大手進学塾通いをスタートさせました。娘さんが小学5年生になるまでは、家計が苦しいと感じたことはほとんどなかったそうですが、高学年になるにつれて、塾代も上がるなど、家計が苦しいと感じ始めたようです。

 参考までに中学受験向けの大手進学塾の費用を見てみましょう。

 例えば、中学受験塾で有名な四谷大塚の費用(2023年10月調べ)を見てみると、小学3年生は週2回の授業で、月額2万350円(税込)、小学4年生は週3回の授業で、月額3万6300円(税込)、小学5年生は週4回の授業で、月額4万5100円(税込)、小学6年生は週4回の授業で7月までは月額5万7750円(税込)、9月以降は月額7万9750円(税込)となっています。

(注:費用は例外もあるので、実際の費用については、各塾にお問い合わせください)

 授業料だけを計算してみると、小学3年生から小学6年生まで四谷大塚に通った場合には、合計で約200万円にものぼります。この他にも、入会金や春期講習、夏期講習、テキスト代、模擬試験などがかかるので、50万〜100万円程度上乗せになります。他の塾も大差はないので、4年間塾に通うとして総額で200万円以上はかかります。