空前の中学受験ブーム。
この春は5万2000人以上が中学を受けたということで、関連の記事をよく見かけます。ただ、率直に申して素っ頓狂な記事ばかり目につくように思います。
大まかに言って、偏差値の数字を挙げて何か言っているのは、すべて無視した方がよろしい。
これは東京大学教官25年目の一人の個人として、はっきり社会にお伝えしたい。有害無益だと思っています。
かつて中高一貫校で学んだOBの一人としては、間違いなく言えることも少なくありません。
例えば、OBOGの多くがそれなりの大学に進む中学や高校で学べば、正直言ってその後、一生涯いろいろなメリットがあります。
卒業後、20年、30年したとき、ふとあたりを見渡せば、あちこちの官公庁や企業に幼馴染がいたりもする。
これは素直に言ってかなり有利です。
というのも、何かというとき、メリットというよりも一生に一度というような苦境、ピンチにあるとき、命綱になることがあります。
そうしたネットワークが役に立つのはまぎれもない事実です。
ただ、まあそうしたトピックスは、ほかの記者さんでもお書きになる可能性があるでしょう。
以下では、少なくとも日本語ではJBpressでしか読めない本当のお話をしましょう。
「中学受験の正しい勉強法」
その後の人生で伸びる子を育てる勉強法と、そうではない、はっきり「間違った勉強法」を身に着けてしまったことで、後々払わざるを得ない代償などについて、歯に衣を着せずにご紹介します。
「空前の中学受験ブーム・・・」を伝える日本テレビの報道では「難関校の一つとして知られる」私立武蔵中学校が紹介されていました。
前回稿でもご紹介した武蔵の入試を中学受験の「難関校」と勘違いするくらい間違った受験対策はありません。
何が違うのか?
多くの中学受験が「お受験型」であるのに対し、武蔵など一部中学の入試は「東大入試型」で、対策も違えば学校への向き不向きも全く異なる。
またなぜ武蔵の入試は「東大型」なのか?
日本で最初に作られた私立旧制7年制高校の武蔵は、直前まで東京帝国大学総長を務めていた山川健次郎が校長に就任。
学寮に共に寝起きして「白虎隊型」知の予科練みたいなローティーン尖兵を創り出すべく「大正の教育改革」の新制度で作られた学校だったからです。
12歳時点で帝国大学・大学院での教育研究に適性を持つ子供を選別する伝統を100年貫いているからにほかなりません。
この武蔵は男子校ですが、女子でも桜蔭、雙葉、女子学園といった「東京大学型」の中学入試を出題する学校にご興味の親御さんがあれば、東京都美術館で開催している「芸術と科学の新しい挨拶」展をぜひ親子でお訪ねください。
今週27日まで残り少ない会期ですが、α世代がAI社会の荒波で沈没しない本質的な骨法を親子で遊びながら体得されることと思います。