5月14日、石川県金沢市で先進7か国「教育大臣会合」が開かれ、AIと教育に関する各国首脳の意見が交換されました。
議論の結果はグローバルに「AIと教育に関する 富山・金沢宣言」にまとめられたというのですが・・・。
その内容をチェックしてみると、2020年代日本の教育はますます地盤沈下の度合いを深めるのではないかと懸念せざるを得ない代物になっていました。
今回は、教育と生成AI、高度自律型知的情報システムの本質的な問題を考えてみましょう。
親子で遊ぶ芸術と科学の新しい出会い展
初めに、前回も紹介した東京都美術館で開催された「芸術と科学の新しい出会い」展を実例に、いくつか考えてみたいと思います。
写真は、来場者の親子連れに遊んでもらい、許可を得て掲載するものです。
5歳の坊やが、お父さんに「たかいたかい」してもらいながら、VR空間での視覚の変容を体感している実際の風景です。
やらせなどではありません。坊やは実際大喜び。また途中から、お父さんの方も面白くなってしまったようで、坊やからVRグラスをもらって、親が率先して遊んでくれました。
それを子供はまじまじとみているわけです。
幼い日のこういう経験が、その先の人生に大きな意味を持つ。そう考えて、私たちはこうした展示を準備したわけです。
お父さんに抱っこしてもらってVR体験:「芸術と科学の新しい出会い展」より(親子のご同意を得て掲載しています)
教育に関する様々な能書きを見るとき、これらがどの程度「子供にとって」切実、かつ心から楽しい経験として、記憶に刻み付けられるか、私はしばしば疑問に思います。
というのも、形式的な制度だけ弄っても、しょうせんはどうにもならない。「ゆとり」だ何だと、死屍累々の失敗を過去40年ほど、日本の教育は繰り返し続けてきた。
これは誰の目にも明らかな事実でしょう。そこで子供の内発的な動機を大切に考えるわけです。
今回の「芸術と科学の新しい出会い展」では、小学2年生の自主研究で幾何の興味深い性質を自分で明らかにした発表展示なども行いました。
小学2年生、武田莉乃ちゃんの発表に見入る白川英樹教授(2000年ノーベル化学賞受賞)と、本展メインキュレータのイジンヨンさん