なかなか目にしない文字列を時事報道の中に見つけました。
「東京大学教授ら教員の残業代支給を求め全国署名、現実は30%まで上げても足りない、抜本的改革を」
全くもってそうなんです。私も現役の東京大学教授として、「教員残業」関係のブラックな現実を四半世紀、つぶさに見続けてきました。
その一端を記してみます。
ブラック残業で命を落としかけた実例
事実は小説より奇なり、です。実例を一つご紹介しましょう。
A氏は都内の超有名進学校出身、東京大学の理系学部を卒業し、本来なら修士課程を修了した時点で世に出、企業で辣腕を振るうはずでした。
(このA氏と私は、新たに着任した最若手助教授と院生という形で出会い、今現在も縁は続いています)
ところが、様々理由で彼は博士課程に進学、ドクター取得後は東京大学助手として大学のポストに就任、水を得た魚のように縦横に活躍することができるはずだったのですが・・・。
様々な経緯で、自分で見つけた私学(文系学部)の講師に着任、30歳を過ぎて新たな生活が始まり、そこでこの世の地獄を見たようです。
彼の受難、そもそも最低最悪な大本は、日本の事なかれ主義がはびこる教育行政、ならびに出口での水準チェックのない「履修主義」の「形だけ教育」蔓延の現状でした。
私のあまり好きな言葉ではない「偏差値」で言って40にひっかかるか、ひっかからないか(Fランクといいます)、ともかく学生に学力が期待できない私大文系の教育を担当したA氏に「リカレント教育」サービス残業の打診が寄せられました。
そして、これに応じた結果、A氏は命を落としかける災難に直面させられてしまいます。