12月18日、ホンダと日産が資本提携、経営統合に向けて交渉に入るというニュースが報じられた。両社は12月23日に正式に発表する見通しだ。ホンダはなぜ今、日産と提携しようとするのか? 自動車ライター・大谷達也氏が解説する。
これまでの経緯
ホンダと日産の資本提携に関するニュースが世間を騒がせている。さらに、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が日産の株式取得を目指しているとのニュースまで飛び込んできたことで、国内自動車メーカー間の単なる資本提携という枠組を越え、日本の自動車産業界を揺るがしかねない事態へと発展する可能性が浮上してきた。
きっかけは、日本経済新聞が18日午前2時に配信した「ホンダ・日産統合へ 持ち株会社を設立」との第一報にあった。これを受けて、各テレビ局が18日早朝にホンダの三部敏宏社長を直撃したところ「日産さんだけではなく、三菱さんとも協業を含めていろんな話をしていて、あらゆる可能性について話をしている」とコメント。さらに「経営統合の可能性」について問われると「上から下まで言えば可能性としてはあると思う」と答えたことから、ホンダと日産の経営統合が憶測の域を越えて現実味を帯びた将来像として語られるようになった。
既報の通り、ホンダと日産は今年3月15日に「自動車の電動化・知能化時代に向けた戦略的パートナーシップの検討を開始する」ことを発表。その後、これに三菱自動車(以下、三菱)が合流する見通しが明らかになったものの、日産が三菱の筆頭株主であることを考えれば、これは自然な流れといえる。
この段階では、あくまでもEVの駆動系やビークルOSと呼ばれるソフトウエア関連分野の技術提携に関するもので、資本関係に関する明言はなかった。この内容であれば、筆者には納得しやすかった。ホンダと日産とでは企業文化や製品の特性が大きく異なるものの、EVの駆動系やビークルOSはあくまでも「自動車部品の一つ」に過ぎず、それ自体が製品のキャラクターを規定するものではない。であれば、それらはできるだけ幅広い提携先を得てコストダウンを図り、各ブランドのキャラクター作りに関しては各社の開発に任せることが合理的かつ効率的と考えられるからだ。
しかし、これが資本提携となると話がまったく異なる。