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 マッキンゼー・アンド・カンパニー出身のコンサルタントらが行った調査によると、40年前に「超優良企業」と呼ばれていた企業群のうち、現在までに約4分の1が破綻もしくは買収を経験しているという。栄枯盛衰が激しいビジネスの世界において、輝き続ける企業とそうでない企業との違いは何なのか。本連載では『超利益経営 圧倒的に稼ぐ9賢人の哲学と実践』(村田朋博著/日本経済新聞出版)から内容の一部を抜粋・再編集。成長を続ける経営者たちの思考や哲学を元に、現代の経営に求められる教訓を探る。

 今回は、ジョンソン・エンド・ジョンソンの高収益部門となった使い捨てコンタクトレンズ事業を取り上げる。この事業を立ち上げた元社長・大瀧守彦氏の試行錯誤の日々とは?

ジョンソン・エンド・ジョンソン元代表取締役 大瀧守彦氏
「ブラック・スワン」を捕え高収益事業を創った経営者

超利益経営』(日本経済新聞出版)

 大瀧守彦氏は転職したジョンソン・エンド・ジョンソンにおいてコンタクトレンズ事業を立ち上げ、43歳で代表取締役に就任しました。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンは、第1章で取り上げた「エクセレント・カンパニー」にも「ビジョナリー・カンパニー」にも選ばれ、かつ、その評価に違わぬ実績を記録し続けている稀有な企業です。

 世界恐慌の1932年に減収を記録した後、リーマンショック前の2008年まで76期連続増収(2009年の減収率も3%)。世界大戦、「米国病」といわれた米国の停滞期、多くのバブル崩壊があったことを考えると、驚異的な実績です(76期連続増収企業が他に存在するでしょうか?)。

 筆者はアナリストとしてハイテク産業を長らく担当してきたため、ジョンソン・エンド・ジョンソンを取材したことがなかったのですが、現在所属するフロンティア・マネジメント主催の企業経営者を対象にした勉強会に大瀧氏をお招きするにあたり、事前にお話を伺いました。

 ゼロからの新規事業立ち上げの苦難とともに、同社の強さの源泉が「理念」「長期」「成長(への執着)」「分権」にあることを学んだのです。そして、(よいほうの)「ブラック・スワン」の実例を知ることができました。また、岩淵明男氏、高橋浩夫氏の著作からも多く学んだことを明記しておきます。