中期経営計画「Vision2030」に取り組み、データドリブン経営への変革を進めているライオン。そのDX戦略の中から、生成AIの活用推進の施策について、執行役員全社デジタル戦略担当中林紀彦氏が語る。

※本稿は、Japan Innovation Review Forums主催の「第3回 データイノベーションフォーラム」における「ライオンの未来を拓く生成AI/中林紀彦氏」(2024年9月に配信)をもとに制作しています。

「全社普及」と「領域別の活用具体化」の2軸で進める生成AI活用

 ライオンは口腔ケア・生活全般に関わる消費財を中心としたモノづくりの会社です。そして、ハミガキ、オーラルヘルスケアをはじめとした「より良い習慣づくり」を通して、人々の健康に貢献してきた会社でもあります。

 そのためDX戦略においては、データドリブン経営を実現しながら、基幹システム刷新やサプライチェーン最適化など、既存のモノづくりの効率化を進めながら、デジタルテクノロジーを活用して新たな価値を創造し、「より良い習慣づくり」の拡大・進化を目指すこととしています。

 また、データドリブンであることの大前提として、さまざまなものをデジタル化、データ化して意思決定に生かしていく組織風土・文化の醸成が必要です。そこで、専門人材だけでなく、全社を挙げてIT・デジタルリテラシーを向上させようと、デジタル人材育成に積極的に取り組んでいます。

 このような中で、ライオンでは生成AIの活用を「未来を拓くための新たな領域」と捉え、「全社普及」と「領域別の活用具体化」の2軸で推進してきました(下図)。

「全社普及」では、自社内で開発した全社向けの生成AIツールを提供し、利用促進に向けた普及活動を続けています。「領域別の活用具体化」では、社内データをうまく取り込んだ特別な生成AIを用意し、各部門における組織課題の解決や業務効率化を検討しています。