
NECでは、長期的かつ大規模なCX(コーポレート・トランスフォーメーション:企業変革)を進めている。同社が進める「経営・ファイナンスプロセス刷新プロジェクト」では、全社に蓄積するリアルタイムデータを可視化し、その情報を活用しながら、CFO組織が“ビジネスリーダーの意思決定をサポートする役割”になろうとしている。NEC Corporate SVP FP&A部門長 兼 グローバルファイナンス長の青山朝子氏は、この改革の中心にいる一人。経済産業省による「グローバル競争力強化に向けたCX研究会」の座長を務めた日置圭介氏と共に、プロジェクトの要諦について青山氏に話を聞いた。
コーポレートと事業部門の情報乖離をなくすために
――NECが取り組んでいる「経営・ファイナンスプロセス刷新プロジェクト」とは、どのようなものでしょうか。
青山朝子氏(以下敬称略) 組織、人、制度・プロセス、ITの4つを刷新して高度な経営管理を実現し、企業価値を最大化するものです。2025年度までの5年間の中期経営計画において活動を進めてきました。
具体的な取り組みとして、これまで手作業でデータ収集していたような商談から契約・受注までのプロセスを統一し、システム上でデータを可視化できるようにしています。高度な経営管理を行うには、会社のあらゆる階層で同じデータを見ながら議論できる環境を構築する必要があるためです。

また、従来は事業部門ごとに事業計画を立てる従業員がいましたが、その業務を担っていたメンバーをFP&A(財務計画・分析)としてCFO組織に集約しました。これにより、コーポレート側と事業部門側の情報乖離(かいり)をなくし、透明性の高い経営管理を目指します。