画像提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
一つ一つの人事施策が企業価値向上にどう貢献するのか──?アサヒグループホールディングス(以下、アサヒグループHD)は、2024年から発表している人的資本レポートの中で、「人材戦略と企業価値向上の連関」を示している。この取り組みをリードする同社の人事トップ、谷村圭造氏と、経済産業省による「グローバル競争力強化に向けたCX研究会(※)」の座長を務めた日置圭介氏が、その意義について語った。
CX=コーポレートトランスフォーメーション:企業変革
人事は「このテーマから逃げてはいけない」
――2024年5月にアサヒグループHDが初めて発表した人的資本報告書「ピープル&カルチャー・レポート(以下、P&Cレポート)」では、人材戦略と企業価値向上の連関を示しています。2025年に出した同レポートでも継続されました。なぜこのような取り組みを行っているのでしょうか。
谷村圭造氏(以下敬称略) アサヒグループは従業員の過半数が海外の人材で占めるなど、グローバル化が進んでいます。その中で、2021年にはグループ人事の基本方針となる「ピープルステートメント」を策定しました。その他にもさまざまな人材戦略を進めており、手前味噌ながら一定の評価をいただいていると感じています。
アサヒグループホールディングス 取締役 兼 執行役 Group Chief People Officerの谷村 圭造氏(撮影:榊水麗)
しかし一方で、それらの施策が「企業価値にどう結び付いているのか」と聞かれるケースが増えてきました。経営のフェーズが上がり、ステークホルダーからの要求が高くなってきたと言えます。私個人としては、人材戦略と企業価値向上の結び付きをダイレクトに証明するのは難しく、それを示すことを最終目的化することは「人事の本質ではない」という見解です。ただし、2つのつながりを証明しようとする姿勢は必要だと考えました。







