
近年、ファイナンス領域においてFP&A(財務計画・分析)に注力する企業が増えている。FP&Aは、いわゆる伝統的な経理・財務業務ではなく、財務データを基にした全社および事業部門の戦略・意思決定のサポートや、その従事者を指す。NECでは2023年から約500名のFP&Aがグループで活動を行っており、そのチームを率いるのがNEC Corporate SVP FP&A部門長 兼 グローバルファイナンス長の青山朝子氏である。NECでFP&Aはどのように位置付けられているのか。日本企業に求められる企業変革とは? 経済産業省による「グローバル競争力強化に向けたCX研究会」の座長を務めた日置圭介氏と青山氏に議論してもらった。
「実行力の改革」からつながった組織再編
――青山さんはNECでFP&A部門長を務められていますが、どのような組織なのでしょうか。
青山朝子氏(以下敬称略) もともと、会社全体の経理や財務はコーポレートのCFO組織が管轄しており、一方でそれぞれの事業部門の中には、ファイナンスを軸に事業計画の作成などを担う人材がいました。その中で2023年に組織再編を行い、事業部門に所属していたそれらの人材をFP&AとしてCFO組織の当部門に所属を移したのです。現在は約500名が在籍しており、私が統括しています。

日置圭介氏(以下敬称略) 一般消費者と向き合うBtoC企業では、比較的FP&Aの部隊を整備するところが増えてきた印象です。まだまだ従前からの予実管理担当の域から出られていないケースも多いですが、中にはマーケティング組織と連携して市場やチャネル分析などに取り組んでいます。しかしBtoBを中心とした日本の大企業で、これほど大々的にFP&Aの部隊を構え、経営に影響を与えている事例は少なく、国内ではNECがその先駆ではないでしょうか。実際に成果も現れていると見ています。