写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
ヤオコーが2025年10月、持株会社「ブルーゾーンホールディングス」を設立し、文化堂とデライトホールディングス(クックマート)を相次いで傘下に収めた。エイヴイ、せんどうに続く“地域スーパーマーケット連合”の再編が本格化している。巨大資本ではなく地域連携で挑む新モデルは、食品小売業の構造をどう変えるのか。スーパーマーケット再編の新局面を、流通科学大学商学部教授の白鳥和生氏が読み解く。
「ブルーゾーンホールディングス」の設立で動き出す、地域スーパー連合構想
2025年10月1日、ヤオコーは静かに、しかし決定的な一歩を踏み出した。親会社としてブルーゾーンホールディングス(HD)を新設し、持株会社体制に移行。同時に、東京・神奈川地盤の文化堂、そして愛知・静岡地盤のデライトホールディングス(HD)を相次いで傘下に収めた。
ヤオコーといえば、埼玉を地盤に堅実経営で知られる食品スーパー。1980年代から「食生活提案型スーパーマーケット」として独自の地位を築き、36期連続増収増益という離れ業を続けてきた。その優等生が、ここにきてローカルスーパー再編の旗手として名乗りを上げたのだ。
ブルーゾーンHDの傘下には、ヤオコー本体のほか、神奈川のディスカウント業態「エイヴイ」、千葉の食品スーパー「せんどう」(出資比率66%)、埼玉の小型店「フーコット」など計6社が並ぶ。従来の「ヤオコーが親、他社が子」という階層構造から、各事業会社が横並びで連なる「兄弟型グループ」に再編したことで、互いの強みを学び合う仕組みを整えた。
川野澄人社長は2025年11月10日の決算発表会見で「地元で支持されている企業と学び合ってく。それによって、それぞれの企業が成長していきたい」と強調した。仕入れの統合やスケールメリットに安易に寄らず、「各社の文化を尊重しながらノウハウを共有する」ことを優先する点が特徴だ。






