モラハラ夫と離婚するためのマネープランの相談は意外と多い(写真はイメージ:アフロ)

 結婚、出産、離婚、子どもの受験、親の介護…。人生100年時代に直面する様々なライフイベントを乗り越えていくために必要なのが「お金」です。ただ、日々の生活に追われていると、いざという時のための「マネープラン」を考えていないケースがほとんどではないでしょうか。

 そこで、Money&You取締役でファイナンシャルプランナーの高山一恵氏のもとに寄せられた相談事例をもとに、マネープランを考えていく連載「人生100年のマネー相談」をスタートします。今回は、モラハラ夫に悩まされ続けた専業主婦のお話。離婚を実現するためにしたたかにマネープランを練ることにしました。(JBpress編集部)

 最近、マネー相談の中で意外に多いのが、モラハラ夫との離婚を水面下で準備したいという妻からの相談です。今回ご紹介するのは53歳パート主婦のA子さん。相談内容は「結婚20年目にして夫からモラハラされているのに気がついた。離婚したいけど、お金のことが心配で…」というものでした。経済力のないA子さんがモラハラ夫と離婚するにはどんな準備をすれば良いのでしょうか。

※相談者のプライバシーに配慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

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「モラハラ」に20年間気付かなかった

 A子さんは、国家公務員の夫と大学生の娘さんの2人暮らし。A子さんは長年専業主婦でしたが、娘さんが大学生になったのをきっかけに夫の許しを得て週に2回、パートを始めたとのこと。

 そもそも、今どき「夫の許しを得て」というのが危うい夫婦関係を想起させます。案の定、A子さんのお悩みは、「夫からモラハラを受けていたことを認識したので、娘さんが社会人になったら夫と離婚したい。でも、ずっと専業主婦だった自分には経済力はないし、果たして離婚なんてできるのか…」というものでした。

 そもそもモラハラとは「モラル・ハラスメント」の略で、精神的暴力、精神的虐待のことです。加害者は、態度や言葉によるいやがらせを繰り返し、被害者に大きな不安や苦痛、恐怖を与えます。相談を受けていると、モラハラの被害にあっている女性は少なくないと感じます。

 A子さんは、結婚20年目にして夫からモラハラを受けていることに気がついたそうですが、A子さんが夫からモラハラを受けていると気がついたきっかけは、パート仲間からの指摘でした。

高山 一恵(たかやま・かずえ)
(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。

 A子さんは、夫から受ける暴言や態度に以前から悩んでいたそうです。夫からは「家庭のことを親戚にも友人にも話してはいけない」と常に言われていました。そのため、親しい人にも自分が感じている違和感について話すことができませんでした。

 ところが、パート先でとても波長のあう同世代の女性に出会い、何げなく相談してみたところ、その友人から「それはモラハラだよ」と指摘されたとのこと。友人と話をした後、すぐにネットでモラハラに関する情報を集め、長年抱いてきた違和感の謎が解けたそうです。