※イマーシブシアター会場写真 重要文化財 三代目大谷鬼次の江戸兵衛 東洲斎写楽筆 江戸時代・寛政6年(1794) 東京国立博物館蔵

(ライター、構成作家:川岸 徹)

東京国立博物館の本館特別5室で「イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~」が開幕。国宝・重文を中心に日本を代表する美術品が次々に登場する。

イマーシブ展覧会が花盛り

※イマーシブシアター会場写真

 新しいスタイルのアートエンタテインメント「イマーシブ(没入型)展覧会」の人気が拡大している。イマーシブ(没入型)展覧会とは、既存のアート作品を素材にして新たに制作したデジタル映像を上映。展覧会によっては音楽や光、香りなどの演出を加え、鑑賞者に没入感を体験してもらおうとするプログラムだ。2018年にフランス・パリに開館した「アトリエ・デ・リュミエール」がイマーシブ展の発祥といわれている。

 その後、世界各地でイマーシブ展覧会が制作され、ヒット作の多くは日本にも上陸。また日本の企業も展覧会制作に乗り出し、今では常に日本のどこかでイマーシブ展覧会が開催されているという状況だ。

 JBpressではこれまで主だったイマーシブ(没入型)展覧会をレポートしてきたが、イマーシブ展誕生から約7年が経過し、そのレベルは急速に高まったと感じている。この1年でいうと、華やかな映像と音楽に圧倒されるオーストラリア発「モネ&フレンズ・アライブ」、学術的な要素を織り込みミュシャの画業を新たな視点で分析するフランス発「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」が印象に残る出来映え。日本制作の展覧会ではスクリーンに映し出される映像に合わせて床が振動し、風が吹く新感覚のイマーシブ・エンタテインメント「HOKUSAI:ANOTHER STORY in TOKYO」展に驚かされた。

 そんな花盛りといえるイマーシブ展覧会に、東京国立博物館が参入。3月25日、「イマーシブシアター 新ジャポニズム ~縄文から浮世絵 そしてアニメへ~」が開幕した。