色絵金彩鳳凰文煎茶碗皿(部分) 幹山伝七 磁製 明治5〜20年(1872~1887) 有栖川宮家より男爵西紳六郎へ下賜

(ライター、構成作家:川岸 徹)

皇族・華族にゆかりが深い学習院大学に、大学博物館「霞会館記念学習院ミュージアム」が誕生。リニューアルを記念し、特別展「華族文化 美の玉手箱 芸術と伝統文化のパトロネージュ」が開幕した。

旧図書館の建物をリノベーション

 明治10年(1877)に創立、大正15年(1926)の皇族就学令によって皇族の就学先とされた学習院。同令廃止後も多くの皇族の方々が学習院を選ばれ、縁はいまも深く続いている。

 昭和50年(1975)、学習院大学内に「学習院大学史料館」が開館。皇族・華族ゆかりの品々を中心に、資料・史料の収集、保存、調査、研究を行い、展覧会も数多く開催してきた。コレクションは寄贈などにより着々と増え続け、現在、所蔵品の数は25万点以上。史料館は手狭になり、学内からは施設の改善・拡張を訴える声があがり始めたという。

 そうした状況のなか、学習院大学の構内に大学図書館の新棟が完成。いままで図書館として使われた建物は、史料館と博物館機能を併せ持つ施設として活用されることになった。こうして誕生したのが「霞会館記念学習院ミュージアム」だ。

霞会館記念学習院ミュージアム

 実はこの旧図書館の建物は建築家・前川國男が設計し、昭和38年(1963)に竣工した「昭和の名建築」。今回のリニューアルにあたって大規模な改修工事が行われ、利便性を高めながらも、建設当初の姿が取り戻された。旧図書館の建物は竣工後しばらくして白いペンキで塗られたが、今回のリノベーションにより前川建築の特徴である美しいコンクリート壁が甦っている。