
(ライター、構成作家:川岸 徹)
四季の明瞭な日本では、季節を彩る花々は芸術の重要なモチーフとして古くから親しまれてきた。花を題材とした11世紀から現代にいたる絵画・工芸・書跡45件を紹介する展覧会「百花ひらく―花々をめぐる美―」が皇居三の丸尚蔵館で開幕した。
四季折々の花をテーマにした展覧会
肌寒い日はちらほらと残るものの、春の訪れを感じるあたたかな日が増えてきた。皇居三の丸尚蔵館が建つ皇居東御苑も梅や桜など春の花々が次々と開き、訪れる人々の目を楽しませている。
皇居三の丸尚蔵館は、平成元年(1989)に上皇陛下と香淳皇后によって皇室に代々受け継がれた美術品が国に寄贈されたことを機に、その保存と研究、公開を目的に開館した宮内庁三の丸尚蔵館が礎。施設の拡充のため、令和元年(2019)から新館の建設が進められ、令和5年(2023)には「皇居三の丸尚蔵館」と名称も新たに一部が開館した。
皇室ゆかりの美術品を鑑賞できる貴重な場として、国内はもちろん、海外からの観光客にも人気を集めてきたが、3月11日に開幕した「百花ひらく―花々をめぐる美―」をもって、いったんクローズ。展覧会会期終了後の5月7日から再び工事休館に入り、全館開館は令和8年(2026)の秋を予定しているという。
さて、しばしのお別れとなる前の最後の展覧会「百花ひらく―花々をめぐる美―」。タイトル通り、四季折々に咲く花をテーマにした内容で、11世紀から現代までの花を題材とする絵画や書跡、工芸品45件が紹介されている。