
(ライター、構成作家:川岸 徹)
建設技術の進歩により、「戸建ての住宅」が大きく変化した20世紀。1920年代から70年代までの住宅づくりの革新的な試みを紹介する展覧会「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s‒1970s」が国立新美術館で開幕した。
1920~70年代、建築の常識が変わった
1920年代から70年代までの50年間は建築界の転換期として知られている。それまでの様式主義的建築から、既存の様式や装飾、ルールなどにとらわれずに新しい表現を求める近代建築へ。そんな建築界のムーブメントは「戸建ての住宅」にも及び、ル・コルビュジエ(1887〜1965)やミース・ファン・デル・ローエ(1886〜1969)といった多くの建築家が、時代とともに普及した新たな技術を用いて、機能的で快適な住まいを探求した。
国立新美術館で開幕した「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s‒1970s」は、当時の建築家たちが設計した「戸建ての住宅」を紹介し、その革新性を改めて検証する内容。本展の企画を担当した国立新美術館学芸課長・長屋光枝は展覧会の開催主旨について話す。「1920~70年代の建築家が、現在の私たちの生活の礎を築いたと言っても過言ではない。彼らのアイデアや表現方法が現代へとどのように引き継がれているのか。それを知ることは、私たちの今の暮らしを見つめ直すきっかけになると思う」。