2025年4月12日、金栗記念選抜陸上中長距離大会、女子5000m決勝で1位だった山本有真 写真/西村尚己/アフロスポーツ

(スポーツライター:酒井 政人)

久保は昨年のタイムを3秒近く上回る

 金栗記念選抜陸上中長距離大会2025の女子はまずグランプリ800mで1分59秒93の日本記録を保持する久保凛(東大阪大敬愛高)が好走した。400mを59秒で通過して、600mまでは想定通りのレースを披露。終盤は思っていたようにペースが上がらなかったが、2分02秒58で連覇を飾った。昨年の優勝タイム(2分05秒35)を3秒近くも上回り、1年間の“成長”を感じさせるレースになった。

 今後は5月3日の静岡国際、同11日の木南記念に出場予定。東京世界陸上の参加標準記録(1分59秒00)の突破を目指していく。

 グランプリ1500mには田中希実(New Balance)が登場した。今年は室内で日本新記録を4連発して、日本人では唯一、グランドスラム・トラックに参戦。数日前に帰国したばかりで、これが国内トラック初戦になった。

 序盤は最後方でレースを進めると、2周目から順位を上げていく。しかし、最後はテレシア・ムッソーニ(ダイソー)に先着を許して、自己ベストより12秒遅い4分11秒31で2位に終わった。

「最近は練習よりレースが多い分、自分の状態がリアルタイムで世間に知られてしまう。(メンタル的に)しんどいところがあって、疲労は感じていないんですけど、ただ身体がついてこないところがありました」

 1500mでは「ラスト800mを頑張る」というテーマを掲げていた田中。イメージ通りのレースはできなかったが、約2時間後にペースメーカーとして“大きな役割”を果たすことになる。