
(スポーツライター:酒井 政人)
残り1000mで鈴木のスパートが炸裂
4月12日に行われた日本選手権10000mは東京世界陸上を目指すランナーたちが激突した。今回はウェーブライトが活用され、男子は最も速い緑色が27分20秒ペースに設定された。
雨天のナイター決戦、トップ集団は5000mを13分47秒で通過した。外国人選手のスピードが上がらず、緑に灯るウェーブライトに引き離されていく。残り12周で吉居大和(トヨタ自動車)がペースメーカーの前に出ると、そのまま抜け出すかたちになった。
吉居の背中を冷静に追いかけたのが、前回覇者の葛西潤(旭化成)と同4位の鈴木芽吹(トヨタ自動車)だ。ふたりは徐々に近づくと、残り7周で追いついた。その後、3人は“仕掛けの瞬間”を探っていた。
「正直、ラスト1周の勝負には持ち込みたくありませんでした。大和と葛西さんはそんなに動いていない感じでしたが、自分はかなり余裕があったので一気にいきました」(鈴木)
9000mを24分56秒で通過後、鈴木のスパートが火を吹いた。ライバルたちを突き放すと、右人さし指を突き上げてゴールに飛び込んだ。優勝タイムは27分28秒82。2位は葛西で27分33秒52、3位は吉居で27分36秒33だった。