2025年3月2日、東京マラソンを走る太田蒼生 写真/長田洋平/アフロスポーツ

(スポーツライター:酒井 政人)

先頭集団に日本勢で唯一食らいつく

 市山翼(サンベルクス)が日本歴代9位となる2時間06分00秒で日本人トップに輝いた東京マラソン2025。結果的に市山には及ばなかったが、果敢なチャレンジを見せた選手がいる。まずは箱根駅伝で大活躍した太田蒼生(青学大)だ。

 世界トップクラスの海外選手とともに2時間2分切りのペースが予定されていた先頭集団に日本勢で唯一食らいつく。中間点を1時間01分19秒で通過。海外勢の前に出るシーンもあり、攻めの走りを披露した。

 しかし、ハーフを過ぎて苦しくなり、ほどなく遅れだす。28km過ぎに後続集団に追いつかれて、日本人トップから陥落した。その後もズルズルと順位を落として、35kmまでの5kmは18分00秒にペースダウン。36km地点で途中棄権した。レース後、太田は以下のコメントを発表している。

「今回のレースは低体温と低血糖により途中で離脱してしまいましたが、前半から自分のやりたいようにレースを運び、世界のレベルを知れて良い経験ができました。オリンピックで金メダルを獲るために一歩踏み出せたと思います。次はもっと長く世界と戦い、3年後にはオリンピックで勝ちます」

 初マラソンは厳しい結果となったが、今回のチャレンジが今後につながることを期待したい。