ドジャースの大谷翔平(写真:AP/アフロ)

 プロ野球は「数字のスポーツ」ではあるが、基本的なところでルーズというか、不可解なことがいくつかある。その最たるものが「試合数」だろう。

 単純に言って、ある打者が100試合に出場するのと50試合ではどちらがより多くの本塁打が期待できるかは誰が見ても明らかなはずだが、プロ野球の世界では「異なる試合数での成績」を比較するのが当たり前になっている。

 これは「記録としての公平性、公正さ」よりも興行面を重視してきたからだと言える。

 今回は、プロ野球の「試合数」について考察したい。

草創期のMLBは154試合制

 アメリカの東海岸でプロ野球が始まったのは19世紀半ば。

 1871年には最初のプロ野球リーグ・ナショナル・アソシエーション(NA)が発足した。MLBの公式サイトには、この年からのチーム、選手の記録が網羅されている。そして1年目の1871年は各チームの試合数は19試合から33試合とバラバラだった。

 NAのリーグ運営は5年で破綻してしまうが、NAには現在のシカゴ・カブスとアトランタ・ブレーブスの前身が参加していた。

 NAに遅れること5年、1876年にはナショナル・リーグが発足。このリーグが最初のMLBとされる。次第にリーグの体制が整い、MLBは1903年にアメリカン・リーグ、ナショナル・リーグの二大リーグ制となり、両リーグ各8チームが20試合ずつ総当たり(7×20)で対戦し、1チームの試合数は「140」となった。ただし日程の都合上、打ち切りとなった試合もあり、実際の試合数は133試合から140試合とばらつきがあった。

1909年、ナショナル・リーグ所属のシンシナティ・レッズ(写真:Universal Images Group/共同通信イメージズ)

 1904年からMLBの試合数は両リーグ8球団で、22試合総当たりの(7×22)154試合となり、この体制が1960年まで続く。この期間中も日程が打ち切られたシーズンがある一方、引き分け再試合が認められた期間もあり、試合数は年度によって異なっていた。

 1961年、アメリカン・リーグはエクスパンション(リーグ拡張)で10球団となり、各球団18試合総当たりの(9×18)162試合制となる。

 この1961年、ナショナル・リーグは8球団154試合制のままだったが、翌年にはやはり10球団となり、両リーグとも162試合制になった。