(写真:産経新聞社)

 阪神タイガースの音楽といえば、まず思い浮かぶのは『六甲おろし』だろうが、他に虎ファンが思い浮かべる曲は何だろうか。各選手の登場曲や、ヒッティングマーチだろうか?(ちなみに『六甲おろし』は通称で、正式なタイトルは『阪神タイガースの歌』)

 兵庫県、大阪府やその他一部の関西圏の虎ファンなら、間違いなく「〈勝利のエンディング〉の曲」と答えるだろう。約25年も親しまれているこの曲は、疾走感のあるギター・インストゥルメンタルで、正式なタイトルは『Black Magic』という。アメリカのギタリスト、レブ・ビーチ氏が作曲・演奏したものだ。

覆面レスラーのテーマ曲から阪神〈勝利のエンディング〉曲へ

 ペンシルバニア州出身のレブ・ビーチ氏は、1980年代にニューヨークでボブ・ディランやチャカ・カーン、トゥイスティッド・シスターといった著名なミュージシャンのアルバム制作にセッション・ギタリストとして参加した後、87年にウィンガーというバンドを結成した。ウィンガーは3月28日から〈Farewell Japan Tour 2025〉と銘打った最後の日本公演を行う。

『Black Magic』の作曲者レブ・ビーチ氏(2017年筆者撮影)

 他にもドッケン、ホワイトスネイクなど有名なハードロック・バンドにも参加しているビーチ氏が『Black Magic』を世に出したのは、91年に発売された『Guitars That Rule the World』というアルバムにおいてである。当時、人気の高いギタリストたちがオリジナルのインストゥルメンタル曲を提供したコンピレーション・アルバムで、『Black Magic』は筆頭を飾った。以来、この曲はカーレースやスポーツ中継のBGMとしてよく使われるようになる。

レブ・ビーチ氏がギターを務めるハードロック・バンド「ウィンガー」(2014年、筆者撮影)

 日本でウィンガーのファンやロック・ギター愛好家以外でこの曲を知ったのは、おそらくプロレス・ファンが早かったと思われる。