THE SLUT BANKS『Lucky & Rock』ジャケット写真より

(冬将軍:音楽ライター)

90年代から現在までの、さまざまなヴィジュアル系アーティストにスポットを当て、その魅力やそこに纏わるエピソードを紹介していくコラム。今回は結成から25年越しのメジャーデビューを果たすBAD SiX BABIES、その前身であるTHE SLUT BANKSの当時のシーンでの立ち位置、今も色褪せない音源の魅力に迫る。(JBpress)

BAD SiX BABIESが25年越しのメジャーデビュー

 2025年2月12日、まさかのロックバンドがメジャーデビューを果たした。BAD SiX BABIESである。ZIGGYをはじめとし、バンドブームと呼ばれる時代から日本のロックシーンを牽引してきたベーシスト、戸城憲夫が、ex. THE HATE HONEYのボーカル、高木フトシを迎え入れる形で2000年に結成された、極上のロックンロールをかき鳴らすバンド、それがBAD SiX BABIESだ。

 当時、雑誌『ロッキンf』の付録やライブ会場限定リリースなどの音源を残したものの、アルバムをリリースすることなく、2002年に活動終了した。そして2011年に戸城の盟友、大山正篤(Dr/ex. ZIGGY)が参加する形で復活。新曲とミニアルバムをリリースしたが、その後は音沙汰ないままだった。

 それから14年、結成から25年、まさかのメジャーレーベルからバンド初となるフルアルバム『PERFECT EMOTION』をリリースしたのだから、大ニュースである。

BAD SiX BABIES「PERFECT EMOTION」

 ハイエナジー全開でぶちかましてくるロックンロール、「PERFECT EMOTION」に「腐ったガソリン」と、当時からのアブない香りのするアッパーなナンバーの強力さは変わらずどころか、高木のシャウト混じりのボーカルも、石井ヒトシの図太いギターも、戸城のゴキゲンで口ずさみたくなるベースラインも、積み上げてきたキャリアとともにパワーアップしている。ひとりだけ世代の異なるドラマー、金川卓矢のビートもタイトでキレ味抜群。スリリングなアンサンブルを扇動する大きな要になっている。

「BLACK CAT BABiES」、「GENERATION A」といった、ノリよくキャッチーさに溢れるナンバーも色褪せることなく、戸城の抜群のソングライティングセンスを現代においても十二分に感じることができる。当時のファンはもちろんのこと、当時を知らない若いロックファンへも自信を持って薦めたい、普遍的で最高のロックンロールアルバムだ。

BAD SiX BABIES「GENERATION A」

 さて、ここからが今回の本題。BAD SiX BABIESには前身となるバンドがあった。

 狂騒を鳴らす死霊軍団、THE SLUT BANKSである。