(冬将軍:音楽ライター)
90年代から現在までの、さまざまなヴィジュアル系アーティストにスポットを当て、その魅力やそこに纏わるエピソードを紹介していくコラム。今回は“ソフヴィ(ソフビ)=ソフト・ヴィジュアル系”について。お互いが30周年を迎える記念にライブを行うSOPHIAとSIAM SHADE、CASCADEを中心に、個性豊かな音楽性を紐解いていく。(JBpress)
厨二病要素の少ないヴィジュアル系
SOPHIAとSIAM SHADEのメンバーがスペシャルユニット“SIAM SOPHIA”を結成し、2025年2月9日に大阪城ホールで一夜限りのスペシャルライブ『1995 SIAM SOPHIA-G』を開催することが話題である。両バンドは共に1995年10月にメジャーデビュー。お互いが30周年を迎える記念ライブだ。
当時は近いシーンに居ながらも交わるようで交わらなかったこの2バンド。前回触れた“ヴィジュアル系四天王”を起爆剤としたブーム下にあり多様性を帯び始めたヴィジュアル系シーンのなかで、“ソフヴィ(ソフビ)=ソフト・ヴィジュアル系”と呼ばれた代表格バンドだ。ただ、この呼称は特に本人たちが名乗ったものでもなければ、メディアが大々的に言っていたわけでもない。ファンコミュティ内での俗称である。
ソフヴィとは、ゴシックな黒服バンドや派手なビジュアルをしたメタルの潮流といった従来のヴィジュアル系とは異なり、メイクも薄く、どこか爽やかでスタイリッシュな雰囲気のバンドのことを指す。音楽性もダークで耽美的な世界観ではなく、ポップなメロディでカラフルなサウンドのものが多い。言うなれば、厨二病要素の少ないヴィジュアル系、とでもいうべきものである。
その起源的なものは定かではないが、X JAPANを筆頭に、ZI:KILLやLUNA SEAといったヴィジュアル系のパイオニア的存在のバンドを輩出したエクスタシーレコードから、優等生的でスマートな佇まいのGLAYが出てきたこと、メジャーデビュー以降の黒夢がストリートファッションを取り入れ出したという時流がある。
そして、BUCK-TICKの櫻井敦司、X JAPANのYOSHIKI、LUNA SEAのRYUICHI、L’Arc〜en〜Cielのhydeといったフロントマンが自身のシンボルでもあったミステリアスな長髪をバッサリ切っていったという風潮もあった。ブームゆえの多様性と変化、そして流行に抗うような部分が出てきたことも影響があるはずだ。“脱ヴィジュ=脱・ヴィジュアル系”といった言葉が出てきたのもこの頃である。
さて、そうしたソフヴィの代表3バンドを紹介していきながら、その特徴を見ていこう。