外来種の中でも、特に生態系や人の生活、農林水産業などに被害を及ぼすリスクが高い生物は「特定外来生物」に指定され、厳格な規制対象となっている。昆虫では毒性が強いヒアリやセアカゴケグモ、魚類ではブラックバス、両生類ではウシガエル、哺乳類ではアライグマなどが有名だ。条件付きで飼育ができるアメリカザリガニやアカミミガメ(ミドリガメ)は子どもから大人までおなじみの特定外来生物。だが、意外と知られていないのが植物の特定外来生物だろう。身近に生息しているものも少なくないが、駆除や処分に多額の費用がかかり自治体などを悩ませている植物もある。庭仕事や散歩中などに見つけたら適切な方法で対処しよう。
(杉原健治:フリーライター)
熊本で大繁殖したウォーターレタス
最近、熊本県で問題となったのが特定外来生物に指定されている「ウォーターレタス」だ。水草の一種で繁殖が高く、熊本県中部を流れる加勢川で大発生して、まるで草原かと勘違いするほどに水面を緑一面に覆ってしまった。
ウォーターレタスはアフリカ原産の多年生の水草で、日本名では「ボタンウキクサ」と呼ばれている。もとは観賞用として100年ほど前に日本に持ち込まれ、現在では西日本を中心に全国で確認されている。
水に浮くレタスのように見えるためウォーターレタスと呼ばれているが、食べると口腔内に炎症を引き起こす可能性がある「カルシウムオキサレート」という化学物質が含まれている。
2023年には、熊本市と国で合わせて9600万円もの費用をかけてウォーターレタスの除去・焼却を実施。しかし、いまだ根絶にはいたっていない。