
オリックスは、創業メンバーで現在はシニア・チェアマンの宮内義彦氏と、2024年末まで14年間にわたって代表執行役社長を務めた井上亮氏(現取締役 兼 代表執行役会長・グループCEO)の強力なリーダーシップによって飛躍的な成長を遂げてきた。そして、井上氏から今年1月に社長のバトンを受けたのが髙橋英丈氏(取締役 兼 代表執行役社長・グループCOO)である。今後の経営は集団指導体制の色彩が強くなりそうだが、次なる高みのステージに向けてどんな打ち手を考えているのか、髙橋氏に話を聞いた。
多岐にわたる事業領域のシナジー効果を図る施策
──オリックスのビジネスは多岐にわたり、総合商社とも違うために分かりにくいという指摘が以前からありました。最近は「金融」「事業」「投資」という3つの大きな事業領域のくくりで外部に発信していますが、中には重複する事業もあり、線引きが難しいですね。
髙橋英丈氏(以下敬称略) 投資家の方々に対してできるだけ平易な形で情報開示し、われわれの事業価値を正しく評価していただくことが重要だと考えています。当社には10の事業セグメントがありますが、大くくりで3つにしたのは、より理解を深めていただきたいからです。

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一方で競合他社との比較優位性で考えると、逆に分かりづらい点こそがオリックスの強みだとも言えるわけです。例えば、航空機リースは事業にカテゴライズされていますが、実際には金融、事業、投資とそれぞれの観点からビジネスアプローチができています。
こうした1つのビジネスラインの中で違うアプローチから商いが可能な企業は、他にあるようでなかなかありません。ですから、われわれのアドバンテージを維持、強化する観点に立てば、一定程度のブラックボックスはあってしかるべきだとも思います。