文と写真:金子 浩久

718ボクスターは新車段階でコーティングしていた

 718ボクスターが納車され、喜んであちこち乗り回してからの最初の給油は行き付けのガソリンスタンドで行いました。前に乗っていた初代ボクスターもほとんどここで給油していました。初代のスバル インプレッサWRXに乗り続けているクルマ好きの店長が良く面倒を見てくれていたので、早く見せたかった気持ちもありました。

「いいですね~。色と幌の組み合わせがきれいですね」

 ブルーグレーメタリックのボディとネイビーの幌の組み合わせを注文して正解でした。

この連載ではおなじみの金子さんがコンフィギュレーターでカスタムオーダーした718ボクスター。写真はポルシェ・エクスペリエンスセンター東京での走行時のもの

「カネコさん、今のうちにキーパーをやっておいた方がいいですよ。早いほど効果的ですから」

 白い初代ボクスターも、彼にKeePerのコーティングしてもらっていたのでした。ボディをきれいにして、その状態を維持する、文字通りキープするのがKeePerのコーティングです。

 白い初代は6年5万km走ってからコーティングしたけれども、汚れが付きにくくなって、雨に降られると雨水で洗い流される効果は感じました。たしかに彼が勧めるように、新車に近いほど効果が高いのは道理です。グズグズして後から頼むより、早ければ早いほど効果は高まるのではないか?

 そう思ってしまうと、“善は急げ”で断る理由はなくなり、「ダイヤモンドキーパー」というコースを選んで施術してもらいました。納車から3週間後のことでした。

 新車の718ボクスターは元々きれいな状態だったので、最初はコーティングの効果が良くわかりませんでした。白い初代ボクスターは、自分はきれいにしていたつもりでも長年乗っている間にうっすらと汚れが染み付き、白がくすんでしまっていたのです。コーティングの下処理でそれが落とされるので白がクッキリハッキリしたように感じたのでした。

 ただ、新車で施しておいたので安心感が得られました。また、汚れが付きにくく、洗車回数が少なくて済むメリットも変わりません。

6年6万5千kmで再コーティング

 そんな718ボクスターでしたが、6年6万5000kmを走るとなんとなくクスミやヤツレなどを感じます。いつも乗っているので劣化はわかりにくいものですが、“そろそろ洗車しないとな”と思う間隔が短くなったようにも感じていました。

 もうひとつ大きな理由があります。そのガソリンスタンドでの洗車にはホームページからの予約が求められるようになってしまったのです。

「満タン洗車お願いします」

 人手不足によって、いつもの頼み方が通用しなくなってしまいました。前後して、店長も遠くの別店舗に異動。そのガソリンスタンドは並びにファミレスもあるので、洗車の際にはそこで待てて好都合だったのですが、なんとなく足が遠退いてしまいました。

「以前のように洗車の頻度を減らして、シャキッとリフレッシュしたいな」

 KeePerがEXコーティングという新しいコーティングを始めていました。ダイヤモンドキーパーよりも層が厚く、効果が大きいようです。さっそく予約を入れると、溝の口のKeePer LABO 246玉川店で朝9時から作業開始。

(編集部註:この記事は特定の企業・団体からスポンサードされた広告記事ではありません)

 走行中の排ガスなどからの油汚れを落とすことから始まりました。

「これだけでも、一般的なシャンプー洗車などよりもきれいになっています」(店長の馬場功哉さん)

 たしかに言われてみればそうかもしれない。続いて、第1膜を塗る。馬場さんがジェルのようなものをボディに塗って、どんどんと伸びて薄くなっていく。フェンダーやボディ、ドアなどだけではなく、ドアの側面やボンネットやトランクなどのフードの裏側やトランクとフェンダーの間の縁などにも丁寧に塗られていく。窓ガラスやライトのカバー、ホイールや車内のカーナビ画面などにも!

こんなところにも!

 もし、自分で塗っていたとしたら見落としてしまったり、端折ってしまっていたでしょう。

 次に、樹脂類に専用の液体を塗り込んでいきます。

「アルコキシシラン」という材料が主成分だそうです。フロントバンパー下のACC用カメラの埋め込まれた黒いパネルやその左右のエアインレット、ボディサイドのエアインレットなどです。みんな黒いプラスチックでできているので、経年変化によって白っぽくなっています。洗車の際に気にして拭いていますが、クスんでいることは間違いありません。

 ボンネットとトランクを開けて現れるそれぞれの大きなカバーもクスんだままです。土埃や落ち葉の切れ端などがうっすらと付いていますが、これらは雨水では流れ落ちない位置にあるので、僕の無精でそのままにされてしまっていたのです。

「花粉や黄砂もたまっていました」

 そういう時期なのです。

 ここにも馬場さんは最初の汚れ取りの際にきれいにして丁寧に液体を塗り込んでいます。

 液体を塗り込んだ瞬間にプラスチックは黒光りして艶々してきます。端からすべての樹脂パーツに再び生命が吹き込まれて生き返っていくようです。ヘッドライトカバーやホイールなどにもコーティングされていきます。

 クルマを見て“キレイだ”と感じる瞬間には、ボディ全体のコンディションと同時に僕たちは実はディテイルにも着目しています。男性のスーツに例えれば、シルエットや仕立ての良さ、生地のクオリティなどと併せて、合わせたネクタイの趣味や靴の手入れなどにも眼を向けていますよね。「真実を細部に宿らしめよ」と建築家ミース・ファン・デル・ローエが校長を務めていたバウハウスの生徒たちに説いた通りです。細部を疎かにしては全体が美しく仕上がらないのです。クルマのプラスチックパーツはその際たるものでしょう。

「ドアとボディ、ボンネットやトランクなどのフードとボディなどの合わせ目も、実はきれいにしていないと目立ってしまう部分ですね」(馬場さん)

 ということは、クルマをきれいにしたいけど時間がない時には、そうした細部だけを手短かに作業すれば良いということなのかもしれません。あくまでも“間に合わせ”ですが。