
JR京都駅の東と南に何が起きている?
情報ツウの京都旅リピーターでも、JR京都駅の東、南のエリアには足を踏み入れたことがないだろう。東の七条河原町周辺は古来から差別的な扱いを受けてきた人の住んでいた崇仁地区があり、東南部は、映画『パッチギ!』の舞台にもなった在日コリアンが多く住む東九条がある。
老朽化した木造住宅が密集していたこのエリアを、京都市は長年かけて整備した。その間、駅から徒歩圏の広大な土地には市有地の区画を囲むフェンスが林立する奇妙な景観が広がっていた。
未開発地と、最近整備された水辺。京都駅から徒歩圏に広がる不思議な光景だ。京都市はここに、アートと若者で賑わいを創出するという
その崇仁地区に京都市立芸術大学(以下芸大)が移転することが発表された時には驚いた。駅チカの好立地に大学とは。2度驚いたのは、京都市がこの一帯に「文化芸術都市・京都」のシンボルゾーンを創出するという構想だった。この不景気に。
「なぜ商業施設でないのか、という議論もある中で、他の都市さんとの差別化、といいますか。美大の存在を最大限に生かして、この街を『さすが京都』という場所にしてゆけたら、と思っています」と、京都市総合企画局プロジェクト推進室の渡邊俊幸・第一課長は話す。
2014年に芸大移転が発表され、京都駅東南部エリアではプレイベントが開催された。 京都駅近くの未利用地で開業したコミュニティ酒場「崇仁新町」は芸大移転に伴う大規模工事が始まるまでの約3年間、工事予定地の暫定利用として2017年12月のプレまちびらきを経て、2018年2月にグランドオープン。2020年5月の期間満了まで営業していた。いわゆる屋台村(写真:京都市提供2020)
東九条の北河原団地跡地での中谷芙美子と高谷史郎による『霧の街のクロノトープ』(写真:京都市提供2020)
