大谷 達也:自動車ライター

Tesla Model 3 パフォーマンス

シフトレバーもウインカーレバーもない斬新な操作系は批判に値するか?

 テスラに乗ると、自分が浦島太郎になったような気分を味わうことが多い。最新のモデル3に試乗した今回も、自分が時代の進化から取り残されているような感覚を経験した。

 まずは操作系がさらにシンプルになった。基本操作の多くをダッシュボード上のタッチディスプレイで行うのは従来と同じながら、新型ではステアリングコラムから生えていたシフトレバーやウィンカーレバーまで消え去った。

 では、どうやって前進や後退をさせるのかといえば、前述のダッシュボード上に備えられたアイコンを上にスワイプすれば「D」レンジに、下にスワイプすれば「R」レンジに入る仕組み。「P」や「N」も、同じようにこの画面で操作する。

 こうやって聞くと、なんだか面倒くさそうに思えるけれど、やってみると人間の自然な感覚とマッチしていて、意外とすんなり馴染んだ。しかも、前後に障害物がある場合には、それと反対側に進むようにガイドする機能まで備わっている。安全性をも考慮した操作系といえるだろう。

 ちなみにウィンカーはステアリングホイール上のタッチセンサーで操作する*。これも慣れないと戸惑いそうだが、ステアリングから手を放さず親指だけで操作できるので安全にも寄与する。
*初回掲載時誤ってジョグダイヤルと表記していたことをお詫び申し上げます

 我々が長年、親しんできた操作系を躊躇なく変更するテスラの姿勢を批判する声も少なくないが、彼らも思いつきでそれらを提案しているわけではなく、実際に扱ってみると「なるほど」と納得させられることが少なくない。今回もまた、しっかりとした検証を行ったうえで製品化したであろうことが推察される仕上がりだった。