今年、高級ノンアルコールスパークリングワインカテゴリーのパイオニア「FRENCH BLOOM(フレンチ・ブルーム)」が日本での展開を強化する。それにあたってアルコール度数0.0%、糖質0、1kcal、亜硫酸塩0、100%オーガニックブドウの新作「エクストラ・ブリュット」とともに創業者 ロドルフ・フレールジャン=テタンジェとマギー・フレールジャン=テタンジェが来日。ふたりによるメディアに向けてのセッションは、フレンチ・ブルームがワインの新境地を切り開くかもしれない? と期待を抱かずにはいられないものだった。 

フレンチ・ブルーム・エクストラ・ブリュット
11,232 円(税込)/ 750ml
FRENCH BLOOM オフィシャルサイト、マンダリン オリエンタル 東京、ザ・リッツカールトンホテル(大阪、京都、沖縄)、ホテル 東京エディション(銀座)、WINE MARKET PARTYにて展開、販売中

自由なワイン

以前、結構なワイン好きかつ自然派ワイン(ヴァン・ナチュールとかナチュラルワインなどとも言われるワイン)好きの人物に、自然派ワインの魅力をたずねたら、ワインは産地や品種で大体、こういうワインが良いもの、という共通理解がある。しかし、自然派ワインにはそんなワイン的常識に縛られない自由な発想があって、未知なるワインに出会えるのだ、と言われて「なるほど」とおもった経験がある。

この意見は自然派ワインが持つ左派的性格の評価と言えるとおもうけれど、先だってインタビューしたワインの最右翼的存在とも言えそうな(実際はそうでもなかったけれど)「シャトー ラフィット ロートシルト」の当主サスキア ド ロスチャイルドさんは、自然派ワインが流行った理由は「私はこれが好き、これは好きじゃない」と、みんながシェアして自由に楽しめるから。そういうワインとの付き合い方は地に足がついたものだ、ととても肯定的に評価していた。

ただ、造り方、楽しみ方の両面で自由なワインの代表格的存在の自然派ワインも、いまやある種の型のようなものがあるし、自然派には一般的なワインに近いものが、一般的なワインには自然派に近いものが増え、両者の境目は細くなったと私は感じている。

それは、自然派ワインが巷で話題になるようになってから、もう20年近く経っているので、時間のもたらす致し方のない作用ではあるとおもうけれど、ちょっと寂しくもある。そんなワイン界でいま、ノンアルコールは熱いんじゃないか!?と、私はこのあいだ、遅ればせながら気がついた。

これを気づかせてくれたのが先だって来日した「FRENCH BLOOM(フレンチ・ブルーム)」というノンアルコールワインの造り手、マギー・フレールジャン=テタンジェさんとその夫のロドルフ・フレールジャン=テタンジェさんだ。

マギー・フレールジャン=テタンジェさん。余談ながらびっくりするほど高身長

フレンチ・ブルームとは?

「フレンチ・ブルーム」については以前も一度記事にしている。

その繰り返しとなる基本情報を書くと、トップモデルのコンスタンス・ジャブロンスキーさんとその友人でミシュラン・パリ本社の国際事業開発部に携わり、世界のガストロノミーを体験してきたマギー・フレールジャン=テタンジェさん、そしてその夫で「フレールジャン・フレール」というシャンパーニュメーカーの創始者でもあるロドルフ・フレールジャン=テタンジェさんが2019年に創設したノンアルコールスパークリングワインメーカーが「フレンチ・ブルーム」だ。有機栽培のシャルドネとピノ・ノワールから、亜硫酸塩、保存料、添加糖、人工着色料を一切含まず、動物性食品も不使用のアルコール度数0.0%のワインを造っている。

会社としての本部はパリにあるようなのだけれど、ワイン造りの文化的ルーツはシャンパーニュにあり、ブドウの供給源はそれこそ自然派ワインの中心地のひとつ、ラングドック地方にある。

スタンダードラインは「Le Blanc(ル・ブラン)」と「Le Rosé(ル・ロゼ)」。それにヴィンテージのノンアルコールワインという他所ではちょっと聞かないプレステージ作品「La Cuvée Vintage 2022 (ラ・キュヴェ・ヴィンテージ2022)」がこれまでのラインナップだった。

この程、あたらしく「エクストラ・ブリュット」がラインナップに加わり、日本での活動もさらに活発化させる、とのことで、マギー&ロドルフ夫妻は来日し、メディア向けに、フレンチ・ブルームのラインナップの紹介を行ったのだった。

今後アルコール飲料市場の半分はノンアルコールになるかもしれない

ノンアルコール飲料市場は、パンデミックを契機に急拡大した、というのは事実ではあるとおもうけれど、現在でもその勢いは弱まらないどころか加速している。また、業界の大手が、ノンアルコールは将来的に現在とは比べ物にならない規模の市場占有率となると見込んでいる。アルコール市場の半分はノンアルコールに置き換わるなどという説も私は耳にしたことがあるほどだ。

こういう未来予測はなにも海外だけの話でもなく、日本では、はやくからノンアルコール飲料開発に積極的だったサントリーが、ノンアルコール市場は2030年には1400億円規模まで成長すると予想し、その先には酒類・飲料市場の1割、つまり8000億円程度のマーケットという将来があるのではないかと期待込みではあるものの発言しているし、アサヒビールも2030年代前半までに自社のノンアルコール飲料の売り上げ1000億円を目指すと発表している。

本題のフレンチ・ブルームについていえば、ここまで毎年300%レベルの成長を遂げており、昨年の生産量は50万本に達したのだそうだ。まだまだ小さな規模だけれど、これが今年も3倍増えたら結構なものだ。まぁさすがにそれはないんじゃないかとおもうけれど「需要はまだすごくある」とロドルフさんは言う。