A.ランゲ&ゾーネから、洗練を極めたドレスウォッチ「サクソニア・フラッハ」の新作が登場した。ジェットブラックのオニキス文字盤を纏った特別モデルは、プラチナ950製とハニーゴールド750製の2種で、それぞれ200本の限定生産となる。わずか6.2mmの薄型ケースに宿るのは、「Less is more(少ないほど、美しい)」というデザイン哲学の結晶である。一切の装飾を削ぎ落とした先に現れる、時計づくりの本質がここにある。

漆黒の艶が纏う、ラグジュアリーの新境地

サクソニア・フラッハのデザインは、ミニマリズムの美学を体現している。文字盤に配されるのは、時分針とバトン型インデックスのみ。そのうえオニキスを文字盤に採用したことで、特別な存在感を放っている。

本モデルの艶やかな輝きは、まるで深い水面のような奥行きを湛え、光の角度によってその表情を微妙に変化させる。ハニーゴールド製モデルでは、温かみのある金色とダークな文字盤が完璧な調和を奏で、一方のプラチナ製モデルでは、クールな白色貴金属が漆黒を際立たせ、シャープなコントラストを生み出している。

ケース厚わずか6.2mm。そのエレガントな佇まいは、ビジネスはもちろん、フォーマルな装いにも対応する

この時計を手首に纏う瞬間、その軽やかさに驚かされるだろう。厚さわずか6.2mm、直径40mmという薄型ケースは、美しく曲線を描くラグによって手首に吸い付くようにフィットする。ビジネスシーンではシャツの袖口の下に滑らかに収まり、フォーマルな装いでは袖元からそっと覗く漆黒の文字盤が、着用者の洗練されたセンスを静かに主張する。ブラックのグロッシーなアリゲーターストラップが、この時計のエレガンスをさらに引き立てるはずだ。

シースルーバックにより、ムーブメントの美しい仕上げを堪能できる。A.ランゲ&ゾーネならではの4分の3プレート、地板に施された美しい装飾も見逃せない

技術面においても、サクソニア・フラッハは妥協を許さない。自社製手巻きムーブメント、キャリバーL093.1は、わずか2.9mmという極薄設計でありながら、フラットなツインバレルを搭載することで72時間という実用的なパワーリザーブを実現。サファイアクリスタルのケースバックからは、ランゲの時計製造における最高水準の技術で仕上げられたムーブメントを眺めることができる。ゴールド、ルビーレッド、コーンフラワーブルーという3色のビス留め式ゴールドシャトンが、機械式時計ならではの美しさを演出する。

A.ランゲ&ゾーネの歴史は、1845年にフェルディナント・アドルフ・ランゲがグラスヒュッテに時計工房を設立したことに始まる。第二次世界大戦後、東ドイツ政府による国有化によって一度は消滅したこのブランドは、1990年、創業者の曾孫であるウォルター・ランゲによって奇跡の復活を遂げた。以来、ゴールドまたはプラチナのケースを使った腕時計を年間数千本のみ製作し、すべてのモデルに自社開発の手作業で装飾されたムーブメントを搭載するという哲学を貫いている。

サクソニア・フラッハは、そうした同社の時計づくりの精神を最も純粋な形で表現したモデルといえるだろう。装飾を最小限に抑えることで、時計本来の美しさを最大限に引き出す。それは、180年にわたって受け継がれてきた職人技への敬意でもある。

手巻き(自社製キャリバーL093.1)、プラチナ950ケース(Ref. 211.062)またはハニーゴールド750ケース(Ref. 211.052)、40mm径(厚さ6.2mm)、価格プラチナ、ゴールド、ともに要問合せ(世界限定各200本)