フランチャコルタを代表するワイナリー「カ・デル・ボスコ」が2026年1月1日(木・祝)から帝国ホテル 東京のシャンパンバー「The Rendez-Vous AWA」を彩る。Flavio Bonetti (フラヴィオ・ボネッティ)、Franco Fontana (フランコ・フォンタナ)、Georg Gerster (ゲオルク・ゲルスター)、Ralph Gibson (ラルフ・ギブソン)、Eikoh Hosoe (細江英公) Mimmo Jodice (ミンモ・ジョディーチェ)、Don McCullin (ドン・マッカリン)、Helmut Newton (ヘルムート・ニュートン)、William Klein (ウィリアム・クライン)、Ferdinando Scianna (フェルディナンド・シアンナ)、Alice Springs (アリス・スプリングス)、この11人の写真家が生み出した写真集とともにカ・デル・ボスコのフランチャコルタが味わえるのだ。

Photo by Eikoh Hosoe of the photographer taken from the book “11 Fotografi 1 Vino” edited by Skira

ワインをどう表現するのか?

正直に言いますと、ワインという題材はメディア的に変化をつけづらいんです。ブドウ畑、ブドウの樹、ワイナリーにある醸造設備や樽、ワインボトル、ワインという液体……こういうものはパっと見、世界中どこに行ってもラベル以外はだいたい一緒です。

それにワインはやっぱり飲み物であって、グラスの液体を眺め、香りをかいで、味わってみて、食事と一緒に飲んでみて、各人がそれぞれに感じるもの。同じワインだって人によって、同じ人でもその日の気分、状況によって、いくらでも印象は変わります。

アメリカの有名ジャーナリストが98点つけたワインだって「いやスゴいワインだ!でも逆に-2点は何?」とか「さすがにこれは忖度し過ぎ。せいぜい86点でしょ」とかいうことはよくあります。

同じようで、ひとつひとつが違うこと、自分がそのワインをどう受け止めたのか、それを表現するのは、三毛猫で言えば「うちのみぃちゃんが世界で一番可愛い」という飼い主にとっては揺るぎない事実をどう他人に伝えるか、みたいな話なんじゃないか? そんな風におもうことがしばしばあります。

一方で、ワイナリーを訪問して醸造家に「このなかであなたが一番好みのワインはどれ?」とたずねれば、返ってくる来る答えはだいたい一緒。「みんな僕の子どもたち。どの子が一番だ、なんて言えないよ」

「そりゃそうだよね」と「それでいいのか?」が同時に頭に浮かびます。なんとなく、歯車がちょっとずつズレているのに動く機械。そんな印象がワインの世界にはつきまとうのでした。

でも「Italians do it better」イタリア人はうまいことやる。

Photo by Helmut Newton of the photographer taken from the book “11 Fotografi 1 Vino” edited by Skira

カ・デル・ボスコならこうやるのだ!

条件は一つ、 ラベルは写さないこと。広告ではないこと。 

30年前、そういう条件でカ・デル・ボスコは、世界を代表する偉大な写真家たちにカ・デル・ボスコの畑やワイナリーの写真を撮影してもらう、というプロジェクトを始めたのだそうです。

カ・デル・ボスコというのはフランチャコルタを代表するワイナリーですが、創業者にしてオーナーはマウリツィオ・ザネッラさんという1956年生まれの人物で、若かりし頃はそれなりの不良だったそうです。

そしてそれが、現在のカ・デル・ボスコを生みました。マウリツィオさんのお父さんは都会に置いておくと色々と面倒事を起こしそうなマウリツィオさんを、別荘「森の家(Casa家 delの bosco森)」に住まわせた(隔離した?)のだそうです。この別荘はマウリツィオさんのお母さんのものだったそうですが、所在地がフランチャコルタでした。

そして、マウリツィオさんがフランスに憧れたことと、ワインに興味を持ったことが重なって、彼は「森の家」をワイナリーへと変え、それが現在のフランチャコルタの起源のひとつ、かつ、フランチャコルタを代表するワイナリー「カ・デル・ボスコ」になったのでした。

まぁもちろん、同じ条件を与えられたからって誰でもカ・デル・ボスコをつくれるワケはありません。マウリツィオさんが優れたワインの造り手であることは疑いようのない事実です。もしも、フランチャコルタというイタリアの高級スパークリングワインがどういうものか知りたいなら、ひとまず『カ・デル・ボスコ フランチャコルタ キュヴェ プレステージ』というのを味わってみて、これをメートル原器として、ここからの偏差で考えてゆけば間違いありません。そして、もう長らく、マウリツィオさんはカ・デル・ボスコのみならずフランチャコルタ全体の伝道師的な存在でもあり、彼の醸し出す、人生を真摯に楽しんでいるなんともイタリア人らしい有り様が、フランチャコルタとはどんなワインかを雄弁に物語っているのですが、今回はワインの話にこれ以上深入りするのはやめておきましょう。

問題は、じゃあ優れたワインを造れたとして、それをワイン以外でなにかうまいこと説明・表現できるのか?というところです。

この問いへのカ・デル・ボスコの解答が、写真家たちにワイナリーや畑、そこで働く人々を被写体とした作品をつくってもらうことだったようです。

Photo by William Klein of the photographer taken from the book “11 Fotografi 1 Vino” edited by Skira

実際、生み出された数多くの、様々な写真作品を見ると、カ・デル・ボスコの、フランチャコルタの世界観が感じられます。

Photo by Alice Springs of the photographer taken from the book “11 Fotografi 1 Vino” edited by Skira

この記事に掲載しているのはそのごく一部。特に、ワイナリーで働く人々を撮影した写真には私、感動しました。

写真は『11 Fotografi 1 vino(11人の写真家 1つのワイン)』という写真集にまとめられています

2026年1月1日(木・祝)から2月28日(土)まで、帝国ホテル 東京のシャンパンバー「The Rendez-Vous AWA」では、この写真をまとめた『11 Fotografi 1 vino(11人の写真家 1つのワイン)』という写真集を見ることができます。

また期間中は「カ・デル・ボスコ フランチャコルタ ヴィンテージ コレクション ドサージュ・ゼロVT2020」というカ・デル・ボスコのなかでも上級クラスの作品を1グラス4,000円/1杯(サービス料・消費税込)で楽しむことができるので、没入感はさらに高まるのです。

確かに写真にラベルは写っていません。でも、こんなに雄弁なカ・デル・ボスコの、ワインの表現は、正直言って、ちょっと嫉妬を覚えるほどです。想像力を遊ばせる上質なひとときを過ごしてみてください。きっとワインが好きになるはず。