合宿に参加する選手たち 撮影/酒井 政人

(スポーツライター:酒井 政人)

世界と戦うために

 日本陸連は3月18日から20日までの3日間、味の素ナショナルトレーニングセンターで「3000m障害の測定研修合宿」を敢行。最終日はメディア公開があり、サンショー選手たちが元気な姿を見せていた。

 昨年は男子シニア選手のみを対象に行ったが、今年は初めて男女のシニア・ジュニアの有力選手が集結。男子シニアでは昨年のパリ五輪で8位入賞を果たした三浦龍司(SUBARU)、一昨年のブダペスト世界陸上で三浦とともに決勝に進出した青木涼真(Honda)らが参加した。

 この合宿の意図と目的について、日本陸連の高岡寿成シニアディレクター(中長距離、マラソン担当)は以下のように話している。

「三浦選手が世界大会で入賞を続けてくれていることが非常に大きいですね。三浦選手のデータを分析して、他の選手たちが学んで強化できればと取り組んでいます。今回は世界と勝負するために障害を跳び越えることをテーマに、千葉先生から学びました。男子は最大3枠を獲得して東京世界陸上に向かいたいと考えています」

 合宿では障害物を跳び越えたときのデータなどを収集しただけでなく、現役時代に男子400mハードルで活躍した城西大・千葉佳裕コーチからハードリングの技術やドリルなどのレクチャーがあったという。

 3000m障害は高さ91.4cm(男子/女子76.2cm)の障害物を28回、同じ高さの水濠を7回跳び越えて、ゴールを目指すレース。陸上競技のなかでも特殊な種目だ。

 三浦は通常、障害物に足をかけてレースを進めて、残り1周は障害物に脚をかけないハードリングでラストスパートを放っている。一方、世界のトップクラスは障害物にまったく脚をかけない選手が少なくない。日本陸連は「メダルを含めて入賞以上を目指すには、ハードルを跳ぶ技術が大切」と分析。ハードリング技術を磨くことで、世界に切り込んでいきたい考えだ。