2025年11月22日、八王子ロングディスタンスA組、日本新記録でゴールしたトヨタ自動車の鈴木芽吹 写真/スポーツ報知/アフロ
(スポーツライター:酒井 政人)
緑のウェーブライトを追いかけて
1988年に始まり、数々の“好記録”を生んできた八王子ロングディスタンス。今年(11月22日)は5組(C)で27分台に突入するなど例年以上にレベルが高かった。そして“最速”となる最終7組(A)。緑のウェーブライトが日本記録(27分09秒80)を狙える27分10秒に設定されたレースに7人の日本人選手が臨んだ(出場者は29人)。
気温9度でほぼ無風という絶好のコンディション。外国人選手が大多数を占めるなかで鈴木芽吹と田澤廉(ともにトヨタ自動車)が上位に切り込んでいく。先頭のペースメーカーは3000mを8分10秒、5000mを13分36秒で通過。レース中盤は緑のウェーブライトから少し遅れるかたちになった。
6000mを過ぎて田澤が苦しくなる。一方、鈴木は「誰か前に出て」と周囲の選手にジェスチャーを送り、ペースが上がる。7000mを19分02秒で通過して、緑のウェーブライトに追いついた。
9000mは鈴木を先頭に24分28秒で通過。自らペースを上げて、残り1周は26分04秒で通過した。ラスト勝負を制したサムエル・キバティ(トヨタ自動車)が27分01秒70で優勝すると、鈴木は6位でフィニッシュ。“日本新”を確信して、両手を広げてゴールに飛び込んだ。
鈴木のタイムは27分05秒92。2023年12月に塩尻和也(富士通)が樹立した日本記録を3秒88更新した。駒大・大八木弘明総監督が「日本新。よく頑張った」と教え子の肩を叩くと、鈴木も「しっかり準備してきたので、それを出せたかなと思います」と笑顔が弾けた。