中央大・吉居駿恭 写真/ナイキジャパン
(スポーツライター:酒井 政人)
キャプテンに立候補した絶対エース
正月の箱根駅伝で総合5位に入り、5月の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会をトップ通過。名門・中大が“完全復活”を遂げる日が近づいている。30年ぶりとなる箱根駅伝の総合優勝を目指すチームを牽引しているのが吉居駿恭(4年)だ。
箱根駅伝1区の独走劇を経て、エースの自覚が芽生えた。新チームになるとキャプテンに立候補したのだ。
「キャラではないですし、凄くやりたかったわけではありません。でも、チーム状況があまり良くなかった。自分が先頭に立ち、仲間に声をかけて、チームを引っ張りたいと思ったんです」
今季は4月29日の織田記念5000mを13分26秒31で制しており、「13分一桁を狙える感覚」があったという。しかし、練習で「少し欲張りすぎた」ため、疲労を残したまま日本選手権を迎えて、5000mは決勝進出を逃している。
それでも藤原正和駅伝監督は、「走力は十分ですし、言動も成長している。チーム全体の雰囲気を作る役割を果たしています」とキャプテンを十分に評価している。
7月後半は貧血の治療に専念していたが、夏合宿はチームの「泥臭い練習」(藤原監督)もポジティブにこなしていた。
スピードが魅力の吉居。順当なら出雲駅伝と全日本大学駅伝は前半のポイント区間に起用されることになるだろう。そして箱根駅伝は1区を希望している。今年は区間歴代4位の1時間1分07秒で突っ走っているとはいえ、吉居のターゲットに驚かされた。
「59分前半で走らないと後ろとは離せない。58分台を狙えるくらいの走力をつけていきたい」と兄・大和が保持する区間記録(1時間0分40秒)の大幅更新を狙っているのだ。絶対エース&キャプテンとして、前回(1分32秒)以上の“大量貯金”をチームにもたらすつもりでいる。