2025年9月14日、世界陸上東京大会、女子マラソンで7位に入った小林香菜 写真/森田直樹/アフロスポーツ
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(スポーツライター:酒井 政人)

序盤から攻めのレースを展開

 東京2025世界陸上の2日目はモーニングセッションに女子マラソンが開催された。酷暑のためにレース開始時間が午前8時から7時30分に前倒しされたが、レース後半は気温が30度を超えて、湿度も80%に到達。極めて厳しい環境での戦いになった。

 そのなかで輝いたのが、社会人2年目の小林香菜(大塚製薬)だ。早大時代は伝統ある競争部ではなく、早稲田ホノルルマラソン完走会に所属していた異色のランナーが大舞台で持ち味を存分に発揮する。

「監督から『無理に抑えず、自分のペースで行けばいい』と言われていたんでけど、あまりに遅かったので、自分のペースで行こう、と最初からずっと頑張りました」

 小林は1km過ぎに集団の少し前に出ると、2kmほどトップを独走した。その後は集団に吸収されるも、8km付近で飛び出したS.サリバンとJ.マクレインの米国勢を追いかけていく。

 中間点はトップのサリバンが1時間12分58秒、小林は30秒遅れの4位で通過。後続の大集団とは31秒差をつけていた。その後、アフリカ勢が一気にペースアップ。小林は24km過ぎに抜かされて、入賞圏外に弾きだされる。しかし、ここからが粘り強かった。

「抜かれたときは一杯いっぱいでしたけど、鬼ごっこみたいな感じで、ここからは自分が追いかけようと思って走りました」