清水空跳(写真は2025年7月4日、日本選手権、男子100m予選) 写真/森田直樹/アフロスポーツ
(スポーツライター:酒井 政人)
決勝1組で2年生が追い風参考の10秒06
広島で開催されている全国高校総体(インターハイ)の陸上競技。今年は「暑さ対策」のため競技方式が急遽変更した。800m以下のトラック種目は予選・準決勝・決勝の3ラウンド制から予選・決勝の2ラウンド制となり、決勝は準決勝進出相当の24人によるタイムレース(全3組)となった。
“高校最速”を決める男子100m。例年と異なる戦いがかつてない熱狂を生むことになる。
決勝は1組から刺激的だった。筆者は女子100m選手の取材中でレースを観ることはできなかったが、会場のどよめきで凄いタイムが出たことがわかった。菅野翔唯(東農大2群馬)が10秒06(+2.4)をマーク。追い風参考ながら大会記録(10秒11)を大きく上回るタイムを叩き出したのだ。
菅野は昨年の国民スポーツ大会少年B100mで2位に入った選手。そのレースを制した清水空跳(星稜2石川)に強いライバル心を持っていた。しかし、インターハイでふたりの“直接対決”は実現しなかった。
菅野は3組に登場した清水の結果を選手待機所で待っていた。その場からレースは観られなかったが、「大歓声が沸き上がったので自分の記録を超されたのかなと思いました」と自身が敗れたことを察した。
筆者は3組のレースを観ることができたが、16歳の少年が異次元のスピードで100mを駆け抜ける姿に驚かされた。