2025年9月13日、世界陸上東京大会、男子100m予選でのサニブラウン・アブデル・ハキーム 写真/松尾/アフロスポーツ
(スポーツライター:酒井 政人)
8月に10秒00をマークしている守は不発
9月13日に開幕した「東京2025世界陸上」は初日から盛り上がった。モーニングセッションでは男子50km競歩で勝木隼人(自衛隊体育学校)が銅メダルを獲得。混合4×400mリレー予選は日本が3分12秒08のナショナル記録を打ち立てて決勝進出を決めた。
この熱気はイブニングセッションでさらに“加速”する。来場者数は5万6000人を突破。中長距離レースでは日本人選手がトップに立つと、大歓声が沸き起こった。
そのなかで注目の男子100m予選も行われた。通過は各組3着+3人。1組には今季10秒00の自己新をマークした守祐陽(大東大)が出場。しかし、初めての世界大会で実力を発揮できなかった。
「自分では平常心でいるつもりだったんですけど、緊張してしまいました。この1カ月、うまく練習を積めて、凄く良い状態で迎えたんですが、アップと本番の差を感じましたね」
リアクションタイムの0.232秒は2組最下位で、「全体的に力がうまく入らず、加速でトップスピードに乗れなかった」と中盤以降も噛み合わない。10秒37(+0.1)の7着に終わった。
「走っていてもスピードが出てないのは自分で分かっていました。大声援はうれしかったんですけど、それを力に変えることができなかった。いつも通りにできないのが世界大会の難しさかなと思います」
それでも今季世界最高&世界歴代6位の9秒75をマークしているK.トンプソン(ジャマイカ)とも走り、「世界トップレベルのスピードを体感できたのは良い経験になりました」と守。「こういう最高の舞台で結果を出せるような選手になれるように頑張っていきたいです」と今後を見据えた。