「Claude」開発企業・米アンソロピックのダリオ・アモデイCEO(写真:ロイター/アフロ)
SaaS is dead──。アンソロピックの「Claude Cowork」に新機能が搭載され、SaaS企業関連株が急落した。Coworkは事務作業を自動化することに加え、法務や財務、マーケティングなどの専門業務にも対応するという。SaaS企業はどれほど追い込まれているのか。シリコンバレーと日本に拠点を置くベンチャー・キャピタルWiLパートナーの小松原威氏に話を聞いた。
(湯浅大輝:フリージャーナリスト)
加熱するAI企業への投資
──アンソロピックの「Claude Cowork」に新機能が搭載されたことにより、SaaS企業の株価が急落しました。シリコンバレーで活動されている小松原さんは「SaaSの死」をどのようにみていますか。
小松原威氏(以下、敬称略):「SaaSの死」は強い言葉ですが、要は市場から見ると、AI企業の魅力がSaaS企業を上回っている、という相対的な話なのだと思います。
まずマーケットの分析からしてみたいと思います。これまでSaaSスタートアップは「T2D3」(売上高を前年基準で毎年3倍、3倍、2倍、2倍、2倍に伸ばしていくこと)を達成できれば、優等生と呼ばれていました。
ところが、AI企業は「Q2T3」(4倍×2、3倍×3)を達成してはじめて優良銘柄と評されます。
この背景に、AI企業への潤沢な資金投入があります。2025年のアメリカのベンチャー投資に占めるAI企業の割合はなんと「約3分の2」。今や、投資家のほとんどの関心はAIであり、相対的に見ればSaaSの魅力が薄れているのが現実です。
小松原 威(こまつばら たけし) WiLパートナー 2005年慶應大学法卒。日立製作所を経て2008年SAPジャパンに入社。営業として製造業を担当。2015年シリコンバレーのSAP Labsに日本人として初めて赴任。デザイン思考を使った日本企業の組織/風土変革・イノベーション創出の支援部署を立ち上げ。2018年にWiLに参画。出資元(LP)リレーション担当として、大企業の変革・イノベーション創出・海外投資先の日本進出支援を行う。22年よりシリコンバレーオフィスに勤務。
一方で、SaaS企業の代表格であるセールスフォースもAIエージェントを内製化しており、厳密にAI企業とSaaS企業を分けることは難しいことも指摘しておくべきでしょう。
ただ、ChatGPT以降に出現したAI企業への投資が過熱していることは事実で、それらのAI企業と従来型のSaaS企業のマーケットを比較したとき、前者に圧倒的な注目が集まっているのです。
──Claude Coworkは自然言語でデータ分析の自動化やパソコン端末内のファイルも操作できるとのことです。CoworkはSaaSアプリを駆逐できるポテンシャルがあるとお考えですか。
