ホワイトカラーは本当に要らなくなるのか
小松原:「ホワイトカラー不要論」と同じ文脈で語られています。SaaSがAIエージェントの影響を受けているのは自明ですが、もっと広くみると、AIエージェントが自律的に仕事をつくり、経済成長をAI自身がけん引していく未来が予想されます。
これまでの資本主義経済では経済成長は雇用の増加と相関関係がありましたが、AI自身が仕事をつくり、生産性を高めると必要な人間の数は減っていきます。
ホワイトカラーの失業率の増加は、かなり深刻に捉えられている印象です。
実際、Claudeのコーディング能力は相当なものですし、アメリカで20代前半のジュニアなソフトウェアエンジニアの職がAI以前(2022年11月)と比較すると20%ほど減少しているというデータもあります。
一方で、AIと協働する客先常駐のFDE(Forward Deployed Engineer)という仕事が盛り上がっています。同じ常駐でもSIerとは少し違い、顧客の業務プロセスの課題を見つけAI導入プロジェクトを成功に導く、という職種です。日本ではAIエージェントはおろか、SaaSを導入している企業も海外と比較すると少ないでしょうから、こうしたトレンドの影響はこれからなのかもしれません。
──勃興するAIエージェントという新たな技術に対して、小松原さんが思う、日本企業が打っていくべき施策はありますか。
小松原:日本企業の経営層の方々とお話しすると、AIへの危機意識を強く持たれていると実感します。ところが、日本企業は現場において、今までの仕事のやり方を変えることへの抵抗感が強く、それがSaaS導入を妨げてきた理由でもあるのでしょう。
現場の仕事の方法を変えたくないというのは、当然理解できる心理なのですが、生産性向上のためにはベストプラクティスの導入が不可欠です。仕事の方法を変えないまま、AIエージェントを導入しても「無駄なレポートをAIで10枚作らせる」「稟議書のテンプレを揃えるAIが重宝される」などと、明後日の方向にAIが使われることが目に見えています。
AIエージェントの導入は、仕事の方法の最適化とセットで考えなければいけません。まずは、ある程度の仕事の規格化と標準化、ムダのそぎ落としが重要で、その上でAIエージェントを入れるべきです。