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 組織やチームを率いるリーダーには「勇気」が必要だ。それを磨くには、まず自分自身の「臆病さや不安(ヴァルネラビリティ)」を受け入れることが必要だという。本稿では『dare to lead リーダーに必要な勇気を磨く』(ブレネー・ブラウン著/片桐恵理子訳/サンマーク出版)から内容の一部を抜粋・再編集。勇気と不安の関係や、不安への向き合い方、リーダーシップのあるべき姿について解説する。

 そもそも「臆病さや不安に向き合う」とはどういうことか。チーム全体が不安に陥った状況を想定し、その中で発揮される「勇気あるリーダーシップ」の在り方を探る。

誤解#6
「ヴァルネラビリティはさらけだすことである」

 私が、「リーダーは個人的な経験をさらけだし、いついかなるときも心を開いて感情を共有するよう」勧めていると誤解している人たちがいるかもしれない。

 その誤解はおそらく、私がヴァルネラビリティについて語ったヒューストンのTEDトークや、拙著『本当の勇気は「弱さ」を認めること』で語った内容が大枠でしか理解されておらず、またここ最近私がおこなっている研究の8割が、ヴァルネラビリティとリーダーシップにまつわるものだという事実にあるのではないかと思う。

 昨今では、2+2=57といった、ハチャメチャな読み解き方をする人がいるが、これもその悪例だ。ご存じのとおり人間とは、自分なりに理解したり、明確だと思ったり、興味を引かれたりした出来事をいくつも足していき、やがて完全に誤った結論を導きだすものである。

1. 私はリーダーシップのツールとして、なんでもかんでもさらけだしてシェアすることを勧めているわけではないし、ヴァルネラビリティのためにヴァルネラビリティを謳ったりもしていない。

2. ヴァルネラビリティなくして、勇敢なリーダーシップは存在しない。

 このふたつの主張は一見矛盾して見えるかもしれないが、いずれも事実である。

 では、「リーダーは、同僚や従業員と、何をどのくらい共有すればいいのか?」と訊かれたらどう答えればいいだろう。